聯合國世界衛生組織 (WHO) 表示,全球確診感染甲型 H1N1 流感個案升破 1 萬例大關,至 10234 例, 83 人死亡。亞洲最大疫區日本疫情進一步從關西蔓延至東京地區,並出現首名醫護人員感染甲流。
香港《文匯報》綜合外電消息,東京都政府昨 (20) 日表示,近期曾赴美國紐約的八王子市 16 歲女高中生被確診為東京地區首宗甲流病例,亦是日本關西以外地區首次確診病例。
日本確診個案昨日增至 263 宗,為亞洲最大疫區, 86% 感染者年齡介乎 10 至 19 歲,青少年患病比例較高的特徵明顯,與美國出現的趨勢相同。日本雖然也有家庭間傳染病例,但極為少數,傳播的明顯特點是高中同學或課外活動成員之間的「橫向」傳播。
繼大阪府和兵庫縣後,滋賀縣昨天亦出現首宗確診病例。大津巿一名就讀立命館學院的23歲男大學生,於上周五曾前住神戶巿,本周一回滋賀後發燒超過攝氏 38 度,並出現咳嗽病徵,前晚入院診治,昨日確診患甲流。他服用特敏福後,體溫已降至約 36 度,目前在家療養,但大學需停課。
另一新確診病人是兵庫縣一名在神戶巿中央巿民醫院工作的25歲醫護女工,她是日本首位感染甲流的醫護人員。醫院其後實施謝絕探訪措施。
厚生勞動省表示,今後感染甲流人數還會增加,隨著疫情迅速擴大,政府正考慮修正當前的應對措施。
而神戶相關部門認為,目前的狀況已接近疫情第三階段「蔓延期」。日本政府此前決定暫不調升第二階段「國內發生早期」的疫情狀態。
由於神戶巿和大阪府感染人數急增,厚生勞動省同意普通科醫院接收疑似病人,無需依靠傳染病指定醫院。另外,關東地區橫濱巿要求中小學生向學校提供個人身體狀況表;新瀉縣妙高巿則向獨居老人派口罩。
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甲型H1N1流感攻陷東京 全球患者破萬人 死亡83人
版主: 版主006
- braveheart8149
- V1
- 文章: 1168
- 註冊時間: 週六 5月 31, 2008 2:57 pm
- 來自: 地深之源
Re: 甲型H1N1流感攻陷東京 全球患者破萬人 死亡83人
taipeior 寫:死亡率真是低啊....
說這句話小心,這是公開版面。
- lingokon
- V1
- 文章: 1294
- 註冊時間: 週五 8月 25, 2006 4:56 pm
- 來自: 台中
Re: 甲型H1N1流感攻陷東京 全球患者破萬人 死亡83人
如果 10000 : 80 的比例來看 ,
不管它, 讓它大流行 ,假使全台100萬人感染的話 .. 8000人 死
亡, 努力的代價在防8000人死亡這裡吧 .
921地震時, 全台死亡人數 ,二千多人.
不管它, 讓它大流行 ,假使全台100萬人感染的話 .. 8000人 死
亡, 努力的代價在防8000人死亡這裡吧 .
921地震時, 全台死亡人數 ,二千多人.
- braveheart8149
- V1
- 文章: 1168
- 註冊時間: 週六 5月 31, 2008 2:57 pm
- 來自: 地深之源
Re: 甲型H1N1流感攻陷東京 全球患者破萬人 死亡83人
lingokon 寫:如果 10000 : 80 的比例來看 ,
不管它, 讓它大流行 ,假使全台100萬人感染的話 .. 8000人 死
亡, 努力的代價在防8000人死亡這裡吧 .
別忘了病毒會突變~
尤其是 流感病毒,患病與死亡比例不會一成不變。
-
- R3
- 文章: 359
- 註冊時間: 週五 6月 29, 2007 1:55 pm
- 來自: Taipei
Re: 甲型H1N1流感攻陷東京 全球患者破萬人 死亡83人
全球確診感染甲型 H1N1 流感個案升破 1 萬例大關,至 10234 例, 83 人死亡.....
只能說
沒有預期的高
只能說
沒有預期的高
-
- 科主任級
- 文章: 5518
- 註冊時間: 週三 5月 16, 2007 5:13 pm
Re: 甲型H1N1流感攻陷東京 全球患者破萬人 死亡83人
小心點好!
畢竟沒人想中這種獎!
不知當年"煞"景會重現嗎?
百業蕭條
"抗煞秀"老葉---你真的準備好了嗎?
畢竟沒人想中這種獎!
不知當年"煞"景會重現嗎?
百業蕭條
"抗煞秀"老葉---你真的準備好了嗎?
-
- R1
- 文章: 150
- 註冊時間: 週二 12月 02, 2008 11:58 pm
Re: 甲型H1N1流感攻陷東京 全球患者破萬人 死亡83人
以下是在下每天收集的追蹤報導,很多。給看得懂日文的人參考。看不懂的人別罵,謝謝!
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新型インフルエンザ
「迅速診断キット陰性」が感染確定者の半数弱◆Vol.14
新型インフルエンザの臨床像が明らかに、神戸市43人の報告
2009年5月21日 橋本佳子(m3.com編集長)
国立感染症研究所感染症情報センターと神戸市保健所は5月20日、新型インフルエンザ感染が確認(RT-PCR陽性者)された43人の臨床像を報告した。迅速診断検査キットで陽性は43人中23人(53.5%)にとどまり、20人(46.5%)は陰性であることが明らかになった(感染研のホームページ)。
検体の採取日の中央値は1日(0~4日)。陰性になった理由として感染研では、「発症から検査までの期間が短いことも影響していると考えられる」としている。迅速診断検査キットの感度は100%ではない上、感染初期にはウイルス量が少ないため陰性になることがあるほか、検体採取の方法によっても左右されることが、季節性インフルエンザでも分かっている。
なお、5月20日、首都圏(東京都八王子市と神奈川県川崎市)では初めての感染確認者が出たが、5月19日の帰国時の成田空港での検疫では、サーモグラフィーで発熱反応があったが、迅速診断検査キットでは陰性だった。迅速診断検査キット、さらには迅速診断検査キットでの陽性反応をベースにした検疫の限界が露呈した格好だ。
発熱が約90%、嘔吐・下痢も約10%に
43人の年齢は5~44歳(中央値17歳)で大半は10代後半。昨シーズンのインフルエンザワクチン接種者は42人中22人(52.4%)。
入院時の臨床症状としては、約90%の患者で見られたのが38℃以上の高熱。そのほか、60~80%に倦怠感、熱感、咳、咽頭痛、約50%に鼻汁・鼻閉、頭痛、約10%弱に嘔吐・下痢、7%に結膜炎がそれぞれ見られた。
『New England Journal of Medicine (NEJM)』5月7日号オンライン版では、今回の新型インフルエンザでは、季節性インフルエンザの典型的な症状のほか、非定型的な徴候を起こし得るという、米CDC(米疾病対策センター)の研究を報告している(m3.com専門医療ニュース:5月13日)。下痢と嘔吐がそれぞれ約4分の1に見られるとしており、日本の感染者でも割合は少ないが消化器症状が確認された。
治療では、43人中39人が抗インフルエンザウイルス薬の投与を受けていた。タミフル19人、リレンザ吸入20人。年齢別に見ると、9歳以下の1人はタミフル、10歳代の36人のうちタミフル13人、リレンザ20人、非投与3人などとなっている。
海外ウイルスと遺伝子一致 感染研、成田の検体で確認
2009年5月20日 提供:共同通信社
国立感染症研究所は19日、成田空港に今月8日に帰国後、新型インフルエンザ感染が確認された患者からウイルスを分離して解析した結果、米国やメキシコなど世界各地で分離されたウイルスと遺伝子レベルでほぼ一致したと発表した。
感染研の小田切孝人(おだぎり・たかと)インフルエンザウイルス研究センター第1室長は「米国、メキシコ、カナダ、成田のウイルスはほとんど違いがなく、均質なウイルスが世界に広がっている」と述べた。
感染研では成田で採取したウイルスのほか、米疾病対策センター(CDC)から提供を受けたウイルスを使ってワクチン製造に必要な「種(たね)ウイルス」の開発を進めている。
種ウイルス開発は各国で進められているが、小田切室長は「恐らく来週にも世界保健機関(WHO)がワクチン株としてどの国の種ウイルスを推奨するのかを決めるのではないか」との見通しを明らかにした。
妊産婦のインフル対応公表 日本産科婦人科学会
2009年5月20日 提供:共同通信社
日本産科婦人科学会は20日までに、妊産婦が新型インフルエンザに感染した場合の対応をQ&A方式でまとめ、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)で公表した。
通常の季節性インフルエンザでは、妊婦が感染すると肺炎などを起こす可能性があり、重症化すると胎児にも影響があり得ることを紹介。新型についてはデータが不足しているものの、季節性と同様の影響が推定されるとしている。
このため、感染した場合は医師と相談の上で、治療薬のタミフルやリレンザを服用することを推奨。2007年の米疾病対策センター(CDC)の指針によると、これらの薬には、妊婦や出生した赤ちゃんに対する副作用の報告がないと解説している。
薬を服用しながらの授乳も問題はないが、赤ちゃんへの感染を避けるため、頻繁な手洗いやマスクの着用を勧めている。
http://www.mhlw.go.jp/
新型インフル 発熱対応「限界寸前」 クローズアップ2009
2009年5月18日 提供:毎日新聞社
クローズアップ2009:新型インフル 発熱対応「限界寸前」
<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
新型インフルエンザの感染が拡大する大阪や兵庫では、急増する受診者への対応に医療機関が苦慮している。保健所の発熱相談センターには電話が殺到し、検査キットなどの不足を訴える医師も多く「限界に近づきつつある」と悲鳴が上がる。感染がさらに広がれば、診察する医療施設は発熱外来から全施設に広げられる。だが、診療した医師が「濃厚接触者」として自宅待機させられたり、感染しても休業補償する制度はなく、国の対策の不十分さが浮かんでいる。
◇やまぬ電話、医師に休業補償なし--大阪・兵庫
「1週間分の相談電話が1日でかかってきた。電話が鳴りやまない」。大阪府の発熱相談センターの担当者は疲れた表情を見せた。
各保健所などのセンターには17日午前までの24時間で1039件の相談が寄せられた。大阪市のセンターに17日午前9時-午後5時半に381件、神戸市のセンターには16日588件の相談が殺到し、パンク寸前だ。回線を増やすなど対応する方針だが、情勢は不透明だ。
神戸市では、発熱相談センターの電話につながらなかった人などが、相談なしに市内の医療機関の発熱外来に直接来院するケースも相次いでいる。担当者は「現場は混乱して戦場のようだ。受け入れ能力は限界に近づきつつある」。電話がつながらなかった人に対応するため玄関前で独自に簡易検査をする民間病院まで現れた。
17日、新型インフルの感染拡大を受けて開かれた大阪府医師会の臨時代議員会。代議員の医師たちが「検査キットもタミフルも足りない」と窮状を訴えた。会場でアンケートしたところ、出席者の25%が検査キットを備えていないと答え、大半がタミフルなどの備蓄が不十分と答えた。
感染者は日々増加している。代議員会では「(数日内に)パンデミックになる」と指摘する医師もいた。感染症指定医療機関は大阪、京都、兵庫の3府県で計168床に過ぎない。感染が拡大すれば指定医療機関ではない一般医療機関が対処することも考えられる。
実際、国の行動計画は対策が第3段階の「まん延期」に入ったら、入院を重症者のみに絞り、軽症者を自宅療養に切り替えるとしている。「間もなく私たちが(新型インフルの治療を)引き受けざるを得なくなる」。医師たちは、タミフルなどの入手が困難な状況を訴えながら、行政に早急な対策を求めた。
16日にあった神戸市医師会の会議では新型インフル患者を診察した開業医が、他の患者に感染を拡大させる可能性があるとして厚生労働省に休業を“指導”されたことが報告され、開業医から不満が噴出した。こうしたケースについて厚労省は、医療の萎縮(いしゅく)を招かないよう近く対応の手引きを示すことにしており「患者と医師の双方が、(効果のある)不織布マスクを着けていれば濃厚接触者にならないのではないか」と話す。
一方、日本医師会は、発熱外来で働く医師が新型インフルエンザに感染した場合の休業補償を求めているが、厚労省は「医師確保のため契約でいろいろな対応をしている自治体もあるが、国としての休業補償は難しい」と説明する。【野田武、酒井雅浩、田中龍士、清水健二】
◇患者の大半、なぜ高校生? 長時間の集団生活/スポーツで体接触
カナダから帰国した国内最初の患者をはじめ、高校生の感染が目立つ。国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は科学的結論は出ていないとしながらも「高校生は学校という狭い空間で長時間集団生活し、行動範囲も広い。小中学生らよりは感染の機会が多く、感染のしやすさにつながっているのではないか」と話す。
今回、米国でもニューヨークの中・高校の集団感染がきっかけとなり、感染が広がった。米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に今月掲載された米国内の患者を分析した論文によると、4月15日-5月5日に感染が確認された642人の6割が18歳以下で、16%が学校での集団感染で発症していた。
鈴木宏・新潟大教授(国際感染症学)は「年齢が高い人が新型に対し何らかの免疫を持っている可能性は否定できないが、高校生のクラブ活動などの行動パターンが関係しているかもしれない。過去にも剣道やバスケットボールなどの大会を通じて、麻疹(ましん)(はしか)が流行したことがある。スポーツは身体が接触する機会が多いし、声を掛け合うなど感染を広げやすい」と指摘する。
また、ウイルスの感染力は年代によって変わらないとされるが、症状の出方が異なることはよくある。たとえば、子どもの麻疹は症状が軽いが、大人になってかかると重症化する。浦島充佳・東京慈恵会医科大准教授(小児科学)は「(新型インフルは)10代後半の若者が感染すると発症しやすい特徴を持つ可能性がある。若者は免疫反応が強く出るため症状が重くなりやすいとも言われている」と指摘する。インフルエンザは症状が重いとそれだけウイルスが多く作られ、他者を感染させやすい。これらの要素が組み合わさって、高校での感染が広がっている可能性はある。【永山悦子、下桐実雅子、江口一】
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■視点・新型インフル
◇軽症者の隔離、入院は不要--元世界保健機関鳥インフルエンザ薬物治療ガイドライン委員会委員の菅谷憲夫・けいゆう病院小児科部長の話
国内感染が確認されたばかりであり、国民感情を考えれば、最初は休校や行事中止などの措置も仕方ない。だが、政府は今回の新型インフルエンザの症状が季節性インフルエンザと変わらない、と説明している。それならば、従来の季節性インフルエンザと同様の対応をすればよいのではないか。
休校するとしても、対象は発生した学校だけで十分だ。子どもが保育園や学校へ行けなくなると、親も仕事を休まなければならなくなる。その社会的なマイナスの方が大きい。
患者が増えれば、発熱外来から患者があふれるだろう。今後は、すべての病院・診療所が通常通り診察すればいい。軽症者を隔離して入院させることも不要だ。海外渡航歴などの有無を診断基準にすることもナンセンスだ。
大阪府の橋下徹知事が国に季節性インフルエンザと同様の対策を求めたことは、理解できる。水際対策から国内の医療体制整備に切り替える時期だ。
過度に恐れる病気ではない。だが、発症48時間以内の治療薬の投与や、持病のある人への適切な治療体制の確保は欠かせない。【聞き手・江口一】
国内感染拡散 どこでもマスク、マスク
2009年5月18日 提供:毎日新聞社
新型インフルエンザ:国内感染拡散 どこでもマスク、マスク
新型インフルエンザの感染者は17日も大阪と兵庫で増え続けた。しかし大阪市は神戸市などと異なり、学校休校措置や集客施設への休業要請を見送った。背景には、弱毒性とされる新型インフルエンザへの過度な対応の結果「都市機能がマヒする」との懸念が見え隠れする。「国は再考を」(平松邦夫大阪市長)。「国は毒性に関する知見を明確に」(橋下徹大阪府知事)。地方から悲鳴が上がった。
「新型インフルエンザは弱毒性とされており、強毒性とされる鳥インフルエンザを想定した対応とは異なる」。平松市長は17日の記者会見で、強調した。
人口約265万人、昼間人口は350万人を超える大阪市。月曜の18日には、通勤や通学で関西一円から人が流れ込む。それだけに感染拡大を阻むための市の対応が注目されたが、結論は「毒性が弱く、冷静な分析が必要だ」として休校などの措置を見送った。
平松市長は今回の措置について「社会経済活動を止める強毒性の鳥インフルエンザとは違うことを分かってほしい」と市民に理解を求めた。さらに「みんなが怖がってしまっていいのか。弱毒性だとこれだけ言われている。国も再考してもらいたい」と訴えた。市幹部は「一斉の休校や施設の自粛要請は、都心部では影響が大き過ぎる。交通網が張り巡らされており、効果も疑問だ」と指摘した。
橋下知事も17日、会見で「どこかで通常のインフルエンザの対応に切り替える必要があるのでは。今の国の方針のままだと都市機能がマヒしてしまう」との懸念を示した。
一方、毎日延べ約60万人が通る大阪・キタの地下街「ホワイティうめだ」。この日も飲食店などに大勢が詰めかけた。管理会社は「買い物客らに『マスクなしでは通らないで』とは言えない。終息を願うだけ」と淡々と話した。
ミナミのアメリカ村でもマスク姿の若者が見られた。マスクを着けていない京都市中京区の高校1年の女子生徒(16)は「新型は普通のインフルエンザと同じぐらいの毒性と聞いた。それほど心配していない」と冷静。大阪市此花区の米映画テーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を訪れた名古屋市の会社員、中島朋美さん(20)は「感染は怖いが、予定をキャンセルするのも嫌なので、マスクを着けて来た」と話していた。
◇関西「終息願うしか…」
生徒の感染が相次いで明らかになっている関西大倉高校(大阪府茨木市)では17日も、宮之前隆春校長(72)が会見。「多くの生徒に感染が広がっていくのではないかと心配。全校生の家庭と連絡を取って健康状態を確認している」と沈痛な表情で話した。同校は休校期間を23日まで延長。25日からの中間試験も延期する。
兵庫県高砂市の県立高砂高では、生徒3人の感染が確認された。富樫暁宏校長は「簡易検査で陽性だったので覚悟はしていたが、やはりショックだ。生徒の一日も早い回復を祈るとともに、まん延防止に努めたい」と厳しい表情で語った。
同校によると3人は1年女子(15)と2年男子(16)、3年男子(17)で、いずれもバレー部。16日朝、既に感染者が出ていた神戸高の校長から富樫校長宅に「10日に高砂高で両校の男子バレー部が練習試合をした」と電話連絡があり、部員らの健康状況を確認。一部が発熱などの症状を訴えており、うち3人の感染が17日夕に確認された。3人が入院した同県加古川市の加古川市民病院によると、全員快方に向かっているという。【久野洋】
日本医師会、医師感染の際の補償制度を要望 新型インフルエンザ
2009年5月16日 提供:毎日新聞社
新型インフルエンザ:日本医師会、医師感染の際の補償制度を要望
日本医師会など医療関係4団体の会長が15日、新型インフルエンザ対策について舛添要一厚生労働相と意見交換し、検疫をすり抜け国内で感染者が発生することを前提とした態勢強化を申し入れた。
各団体は、発熱外来で働く医師が感染した場合の補償制度創設(日本医師会)▽感染者の緊急治療に備えた歯科診療所内の陰圧室設置(日本歯科医師会)▽感染管理の認定看護師の活用(日本看護協会)▽自己注射できるワクチンの開発(日本薬剤師会)--などを要望した。【清水健二】
国内の感染130人に 学校から拡大、企業にも 大阪、
兵庫全域で休校 新型インフルエンザ
2009年5月18日 提供:共同通信社
新型インフルエンザの国内発生は18日、大阪府や兵庫県で新たに34人の感染者が確認され、成田空港の検疫段階で見つかった4人と合わせ、国内の感染者は計130人となった。厚生労働省などが発表した。感染者はこれまでの学校中心から、企業など市中に拡大した。
神戸市中央区にある三菱東京UFJ銀行の三宮支店の20代の女性行員や、同市にあるJR三ノ宮駅の売店の50代の女性店員も感染が判明。銀行は同支店の行員など約60人を自宅待機にし、JRの複数の売店が休業した。
大阪府や兵庫県ではインフルエンザ症状を訴える人が相次いでおり、本格的な流行が始まった可能性がある。
大阪府の橋下徹知事は18日未明の記者会見で、新型インフルエンザの「流行警戒宣言」を出した。
大阪府では18日から全域で中学校と高校が1週間の休校。大阪市もすべての市立小中高、幼稚園、特別支援学校を、堺市は市立の中学、高校を、それぞれ24日まで休校とすることを決めた。兵庫県もすべての県立校の休校を決め、公立と私立の小中高に5日間の休校を要請した。神戸市は一部の区での措置を拡大。すべての市立幼稚園、小中高校と特別支援学校を22日まで休校にした。
厚生労働省も両府県に休校を要請した。
今後、患者が増えて医療機関がパンク状態になる恐れがあるが、今回のウイルスは通常のインフルエンザ並みとみられる。このため大阪府と兵庫県は、入院患者が回復して重症化の恐れがなくなった場合、退院させて自宅療養とするかどうかの判断を医師に委ねる方針を決めた。
神戸市では5歳男児や60代男性が感染。大阪府八尾市でほかの感染者との接触歴が判明していない小学6年女児が感染するなど特異なケースも出ている。
高槻市では、多数の感染者が確認された私立関西大倉高校(大阪府茨木市)の生徒と教員、生徒の家族が新たに感染。学校から家庭に拡大している懸念もある。
週明けを迎えた駅ではマスク姿の通勤客が目立ち、各地で野球やボランティアイベントなどが中止された。
国内の感染130人に 学校から拡大、企業にも 大阪、兵庫全域で休校 新型インフルエンザ
2009年5月18日 提供:共同通信社
新型インフルエンザの国内発生は18日、大阪府や兵庫県で新たに34人の感染者が確認され、成田空港の検疫段階で見つかった4人と合わせ、国内の感染者は計130人となった。厚生労働省などが発表した。感染者はこれまでの学校中心から、企業など市中に拡大した。
神戸市中央区にある三菱東京UFJ銀行の三宮支店の20代の女性行員や、同市にあるJR三ノ宮駅の売店の50代の女性店員も感染が判明。銀行は同支店の行員など約60人を自宅待機にし、JRの複数の売店が休業した。
大阪府や兵庫県ではインフルエンザ症状を訴える人が相次いでおり、本格的な流行が始まった可能性がある。
大阪府の橋下徹知事は18日未明の記者会見で、新型インフルエンザの「流行警戒宣言」を出した。
大阪府では18日から全域で中学校と高校が1週間の休校。大阪市もすべての市立小中高、幼稚園、特別支援学校を、堺市は市立の中学、高校を、それぞれ24日まで休校とすることを決めた。兵庫県もすべての県立校の休校を決め、公立と私立の小中高に5日間の休校を要請した。神戸市は一部の区での措置を拡大。すべての市立幼稚園、小中高校と特別支援学校を22日まで休校にした。
厚生労働省も両府県に休校を要請した。
今後、患者が増えて医療機関がパンク状態になる恐れがあるが、今回のウイルスは通常のインフルエンザ並みとみられる。このため大阪府と兵庫県は、入院患者が回復して重症化の恐れがなくなった場合、退院させて自宅療養とするかどうかの判断を医師に委ねる方針を決めた。
神戸市では5歳男児や60代男性が感染。大阪府八尾市でほかの感染者との接触歴が判明していない小学6年女児が感染するなど特異なケースも出ている。
高槻市では、多数の感染者が確認された私立関西大倉高校(大阪府茨木市)の生徒と教員、生徒の家族が新たに感染。学校から家庭に拡大している懸念もある。
週明けを迎えた駅ではマスク姿の通勤客が目立ち、各地で野球やボランティアイベントなどが中止された。
H1N1型インフルエンザは非定型的な徴候を起こしうる:NEJM研究
2009年5月13日 提供:Medscape
『New England Journal of Medicine』オンライン版に掲載された一連の記事の中で、CDC研究者や公衆衛生研究者が、現在のH1N1型A型インフルエンザの流行の臨床的特徴を詳細に記述し、それに近縁の3種再集合ウイルスが動物からヒトに移行する可能性について論じた
Neil Osterweil
【5月8日】米国疾病管理センター(CDC)と州・地域の公衆衛生当局の研究者らが、A型ブタインフルエンザ(H1N1)ウイルスの現在の流行における米国の最初の症例642例の詳しい臨床情報を発表した。
『New England Journal of Medicine (NEJM)』5月7日号オンライン版に掲載されたその結果によれば、発熱、咳、のどの痛みといった一般的なインフルエンザの徴候の他に、下痢が4分の1の患者に、嘔吐も4分の1の患者に現われた。
したがって、医師と患者は季節性インフルエンザの通常の症候と非定形的な消化管徴候の両方について気をつける必要があると、筆頭著者であるCDC疫学調査局(Epidemic Intelligence Service)のFatima S. Dawood, MDが記者会見で語った。
研究者らによれば、「見つかった患者には限定的な病態と、呼吸器不全や死亡といった重度の転帰の両方が観察されており、その臨床所見は、ブタ由来インフルエンザウイルスの早い段階の株の感染者で見られるものと同様の広い範囲にわたる。」
遺伝子分析によって、現在の感染の原因ウイルスは北米ブタインフルエンザの系統ではなくユーラシア大陸に起源を持つH1型ウイルスであることが分かっている。
やはりNEJMオンライン版に掲載された関連報告においてCDCと自治体衛生担当当局が、現在の流行に先立って起きた、ブタからヒトに伝播したものとされる3種再集合ウイルスによる小規模なヒトでの散発的インフルエンザ症例群について記載している。その著者らは、発熱性呼吸器疾患がある患者にブタや家禽・野生鳥類へ最近曝露した履歴がある場合には、動物性インフルエンザを想定に入れることを医師に勧めている。また著者らは、ブタに接触したヒトでの3種再集合インフルエンザ感染の散発的症例は、より大規模な流行の前哨であると考えられると、警告している。
ウイルスのこの2つのグループは感染力がまったく異なっているが、「いずれのウイルスともヘマグルチニンH1型であり、1918年にヒトおよびブタで出現し、どちらウィルスもその後進化をして、異なるH1型ウイルスになったものである」とセントルイス大学(ミズーリ州)感染症免疫科のRobert B. Belshe, MDが関連解説記事に書いている。
「現在の状況は『1918年の再来』ではなく、『1918年の延長』であり、1918年に汎流行したインフルエンザウイルスの残党に我々は今でも感染し続けているのだ」とBelshe博士は記している、
流行の詳細
現在の流行の最初の数百症例をまとめたDawood博士らによれば、季節性インフルエンザの流行による死亡(年間およそ36,000人)の大部分が、一次性ウイルス性肺炎や二次性細菌性肺炎(特に連鎖球菌性とブドウ球菌性肺炎)といった続発性合併症による死亡と、すでに存在していた疾患の悪化による死亡で占められている。
「これらと同様の合併症がS-OIV(ブタ由来インフルエンザウイルス)感染で起こりうる」と博士らは記している。「S-OIV感染で重度の合併症のリスクがもっとも高い患者は、5歳未満の幼児、65歳以上の高齢者、慢性の医学的問題を基礎に持つ小児と成人、妊娠女性といった重症季節性インフルエンザでリスクがもっとも高いグループがおそらく含まれるが、それに必ずしも限定されるわけではないようである。これまでに発見されてS-OIV感染が確認された入院患者で、データが揃っている22例のうち、12例は重症季節性インフルエンザのリスクが大きくなる特徴(妊娠、慢性の医学的問題、5歳未満)を持っていたが、65歳以上の患者は一人もいなかった。」
確認された症例数は全国から報告が新たに入ってくるたびに増加する一方だが、CDCが確認した最初の642症例に対するリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法による調査によって、今回世界中に広がりつつある大流行の特徴が明らかになってきている。
この報告は、CDCが2009年5月5日までに確認した642症例を扱っている。最初に判明した2症例は、発熱、咳、嘔吐のために3月30日にサンディエゴの救急診療所にやってきた喘息を持つ10歳の男児(サンプルが確認されたのは4月15日)と、咳と発熱のために外来診療所にやってきたカリフォルニア州インペリアル郡在住の9歳の女児(サンプルが確認されたのは4月17日)である。研究者らは、この2症例は疫学的に無関係であり、いずれも最近ブタに曝露した経験はないと判定した。
このウイルスに対する感受性がもっとも強いのは十代までの小児であり、高齢成人は感染しにくいらしく、患者の40%が10歳から18歳までの年齢であり、51歳以上の患者は5%しかいないことが分かった。症状としては、94%に発熱、92%に咳、66%にのどの痛み、25%に下痢、25%に嘔吐があった。
入院の有無が判っている患者399例のうち入院が必要だった者は9%おり、年齢は19カ月齢から51歳までにわたっていた。入院が必要だった患者36例のうちデータが揃っている者は22例であり、そのうち4例(18%)が5歳未満の幼児であった。22例のうち慢性の医学的問題を持っている患者は9例であり、内容は先天性心疾患、喘息、リウマチ性疾患、関節炎、乾癬であった。
「患者の60%が18歳以下の若年者であるという所見から、小児および若齢成人のほうが高齢者よりもS-OIVに感染しやすいということか、社会的繋がりの違いゆえに高齢者への伝播が遅延しているということが考えられる。1976年のブタインフルエンザワクチンの血清学研究で示唆されているように、高齢者ではS-OIV感染に対する抗体をすでに持っていることである程度の交差免疫を備えている可能性も考えられる」と著者らは記している。
Dawood博士は記者会見において次のように述べている。「症例の多くは学校での流行で見つかっており、若年者のほうが検査を受ける傾向が強いために、現時点で症例を見つけ出す手法にバイアスがかかっている可能性もある。また、高齢者の一部の者は別のインフルエンザウイルスに対する抗体を保有していて、それが現在のウイルスに対して交差免疫をもたらしている可能性もある。」
背後に潜むウイルスたち
CDCとさまざまな地方自治体衛生当局の者からなるVivek Shinde, MD, MPHのグループが関連記事の中で、トリ、ヒト、ブタのインフルエンザウイルスの遺伝子が混ぜ合わさった3種再集合ウイルスによるインフルエンザの散発的症例11例について報告している。
3種再集合ウイルスの感染は、1990年代後半に北米の養豚業者で初めて発見されており、2005年12月から2009年2月までの間に11症例が確認された。その年齢は16カ月齢から48歳にわたる。
2例を除いた患者の全員が、ブタに接触したことがあった。接触は直接的(農業祭での解体、展示、取り扱い、または養豚場への来訪)と間接的(農業祭や、ブタが展示してある養豚場への来訪)があった。ミズーリ州の7歳男児の1例はブタまたは感染者に接触した事実は知られておらず、もう1例のアイオワ州の4歳女児はブタインフルエンザ感染が疑われる患者に接触した事実があった。
アトピー関連疾患を有する患者が3例おり(喘息が2例、アトピー性皮膚炎が1例)、免疫不全であることが判っている患者が1例いたが、その他の7例の患者はいずれも慢性疾患を有していなかった。現在の季節性インフルエンザ株に対するワクチンを摂取した者が3例いた。
臨床症状の記録がある患者10例のうち、発熱は9例、咳は10例、頭痛は6例、下痢は3例に見られた。
詳細な血液検査が行われた患者は4例おり、白血球減少が2例、リンパ球減少が1例、血小板減少が1例に見られた。入院が必要になった患者は4例おり、そのうち2例には機械的呼吸補助が必要だった。オセルタミビル(商品名タミフル、Roche社製)の投与を受けた者は4例おり、11例全員が回復した。
「この患者シリーズでは、ブタインフルエンザウイルス感染が最初から疑われた患者は、いたとしてもほんの少数だった」とShinde博士らは記している。「症例のほとんどは季節性インフルエンザのルーチン調査の一部である呼吸器標本のウイルス学的検査で発見されており、このことは、季節性インフルエンザウイルスと動物由来の新規のインフルエンザウイルスのいずれについても、感染者の検出には、インフルエンザのルーチン調査が重要であることを強く示している。」
インフルエンザウイルスは家畜や野生動物の集団の中で地方性動物疾患として存在する能力を持っているので、医師は、ブタ、家禽、野生鳥類に最近曝露した経験を持つ発熱性呼吸器疾患の患者を診る際には、特にその地域でヒトインフルエンザウイルスが循環していない場合には、動物由来インフルエンザウイルス感染の鑑別を考慮に入れることをShinde博士らは推奨している。
「ただし、新型のA型インフルエンザウイルスがヒトからヒトへ効率的に伝播するエビデンスがある間は、医師は最新の推奨に基づいて、感染の適切な疑い、診断、治療の間口を広くしておくことが必要である」と著者らは記している。
「最後ではない」
Belshe博士は解説記事において、「S-OIVの登場と拡散は、現代社会に良い点と悪い点をもたらした」と述べている。博士の指摘によれば、米国でブタ由来A型インフルエンザ(H1N1)の症例が初めて発見されてから数日のうちにそのウイルスのヘマグルチニンの遺伝子配列が決定され、公衆衛生の体制と調査手法が稼働し始め、そのウイルスの抗ウイルス薬への感受性が判定された。
「その反面で政治的には扇情的な姿勢が巻き起こったことは、医師や科学者から一般大衆に向けて有効なコミュニケーションを取る必要があることを示している」と博士は続けて述べている。「ある者はこう訊く。『どうして国境を封鎖しないのか?』(答え:効果がないから。)誤った指導によるブタの殺処分が起きた国もあった(エジプト)。しかしS-OIVはブタでは流行しない。ウイルスを拡散させるのは人間なのだ。そして、調査、公衆衛生対策、ワクチン開発への資金供与が拡大される必要がある。現在のS-OIV大流行は最新のインフルエンザウイルスであって、最後ではないのだ。」
Belshe博士は、MedImmune社とNovartis社のコンサルタントまたはスピーカーを務めていることを開示している。その他に、この報道に記載した論文に関係する金銭的利害関係はない。
Medscape Medical News 2009. (C) 2009 Medscape
3分の1が発熱せず 新型インフルで米医師指摘
2009年5月15日 提供:共同通信社
メキシコ市の病院で新型インフルエンザの感染者を調べた米国の医師が「患者のうち約3分の1に発熱がなかった」との報告をまとめた。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が13日、報じた。
発熱はインフルエンザの感染を見分ける重要な指標とされる。報告が事実なら、感染の早期発見と拡大防止が、これまで考えられていた以上に困難になる可能性がありそうだ。
同医師はメキシコ市の2つの病院で5月上旬、4日間にわたって検診に当たった。報告によると、重症者の多くは高熱を出したが、症状が軽い患者の半数ほどは発熱がなかった。せきや倦怠(けんたい)感は、ほぼすべての患者が訴えた。
また、患者の約12%が激しい下痢を起こしたという。同医師は、患者の便に新型インフルエンザウイルスが含まれているかどうか調べるようメキシコ側に促したと説明。「ウイルスが便を介して伝染すれば、特に発展途上国での感染拡大の抑止は難しくなるだろう」と話した。
重症率10%程度か 新型インフルで進藤医務官
2009年5月13日 提供:共同通信社
【ジュネーブ13日共同】世界保健機関(WHO)の進藤奈邦子(しんどう・なほこ)医務官は12日、新型インフルエンザに関する定例記者会見で、米国、メキシコ両国での患者のデータから、感染者のうち入院が必要な重症に至るケースが「9-10%に達する可能性がある」との見方を示した。
通常の季節性インフルエンザに比べて「明らかに」高率で、新型インフルエンザがこれまで考えられていた以上に強力な可能性がありそうだ。
WHOで新型インフルエンザ対策の技術部門を統括する進藤医務官は、致死率を0・1%程度とされる季節性インフルエンザより高い約0・4%とした米科学誌サイエンス(電子版)で発表された分析結果については「現在利用できる情報に基づいた最良の分析」として、今後変動する可能性があるものの、少なくとも現時点では妥当な分析だとの認識を示した。
進藤医務官は会見後、日本人記者団に対し、現在の感染状況について「水際作戦だけでは食い止められない。(既に)WHOの中ではパンデミック(世界的大流行)として次の行動に移っている」などと話し、感染被害の軽減に各国が努力すべきだと訴えた。
WHOは新型インフルエンザ発生後、毎日定例会見を開いているが、進藤医務官が出席したのは初めて。
新型インフルエンザ感染者、世界で5000人超 メキシコ433人増
2009年5月12日 提供:毎日新聞社
新型インフルエンザ:感染者、世界で5000人超 メキシコ433人増
◇31カ国・地域
【メキシコ市・庭田学】メキシコ政府は11日、新型インフルエンザの感染確認者数が9日の時点より433人増え、2059人になったと発表した。これにより世界の感染者数は、31カ国・地域で計5136人となった。(6、13面に関連記事)
また、メキシコの死者数は8人増え、56人となった。
世界保健機関(WHO)のケイジ・フクダ事務局長補代理は11日の会見で、「北米以外に地域レベルのウイルス感染が広がっている状況は確認されていない」と述べ、現状ではまだ最高レベルの「フェーズ6」への引き上げには至っていないとの考えを示した。
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◇感染が確定した国・地域(12日午前1時現在)
米国 2532人
(死者3人)
メキシコ 2059人
(死者56人)
カナダ 284人
(死者1人)
スペイン 93人
英国 55人
パナマ 15人
フランス 15人
ドイツ 11人
イタリア 9人
コスタリカ 8人
(死者1人)
ブラジル 8人
ニュージーランド 7人
イスラエル 7人
日本 4人
エルサルバドル 4人
韓国 3人
グアテマラ 3人
オランダ 3人
コロンビア 3人
ノルウェー 2人
アイルランド、スイス、オーストリア、中国、香港、デンマーク、ポルトガル、ポーランド、スウェーデン、アルゼンチン、オーストラリアで各1人
計 5136人
WHO、毒性示す指針を作成中
2009年5月12日 提供:読売新聞
【ジュネーブ=平本秀樹】世界保健機関(WHO)のケイジ・フクダ事務局長補代理は11日の記者会見で、新型インフルエンザの警戒レベルについて、地域的な広がりに基づく現行の判断基準に加え、ウイルスの毒性を示す新たな指針を作成中であることを明らかにした。近く公表する。
6段階のフェーズに分かれている現行の警戒レベルは、強毒性の鳥インフルエンザの流行を想定して作成されている。だが、新型インフルエンザウイルスは、現時点では弱毒性とみられており、毒性を考慮せずに最高レベルの「フェーズ6」に引き上げれば、世界に与える影響が大き過ぎると判断した。
新型の致死率0・4% 季節性より強い感染力 国際チームが分析
2009年5月12日 提供:共同通信社
【ワシントン11日共同】世界に広がっている新型インフルエンザの致死率は1957年のアジア風邪並みの約0・4%で、感染力は季節性インフルエンザよりも強いとする初期データの分析結果を、国際チームが11日、米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。
チームは、世界保健機関(WHO)の世界的大流行(パンデミック)評価に携わる英ロンドン大インペリアルカレッジなどで「20世紀に起きたパンデミックに匹敵する大流行になる可能性がある」と指摘している。
チームは、旅行者を通じた世界各国への感染拡大の状況などから、4月末にメキシコで感染者は2万3000人いたと推計。当時の死者数から、感染後の致死率は約0・4%で、1918年出現のスペイン風邪(約2%)よりは低いが、アジア風邪(約0・5%)に匹敵するとした。
1人から何人に感染するかを示す感染力は、1.4-1.6人と推計。季節性のインフルエンザよりは強く、1.4-2人だった過去のパンデミックの低い方に近いという。
メキシコでは、1月12日ごろに最初の1人に感染し、4月末までに人から人への感染が14-73回繰り返されたと推定されるという。今回の解析では、最も早く感染が確認され、住民の半数以上が発症したベラクルス州ラグロリアが発生地になったとの説を支持する結果が得られたとしている。
▽アジア風邪
アジア風邪 1918年に出現したスペイン風邪、68年の香港風邪とともに、20世紀に世界的に大流行した3回のインフルエンザのうちの一つで、57年に香港で表面化した。起源は中国南西部との見方もある。2波にわたって世界中に広がり、死者は200万人以上とされる。日本でも数千人が死亡した。ウイルスはA型インフルエンザのH2N2型。
「新型」致死率、100万人超死亡「アジアかぜ」並み…WHO
2009年5月12日 提供:読売新聞
新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の致死率は、世界で100万人以上が死亡した1957年のアジアかぜ並みの0・4%で、感染力も季節性のインフルエンザより高いとする分析結果を、世界保健機関(WHO)と英国、メキシコの研究チームがまとめた。12日、米科学誌サイエンス電子版に緊急報告された。
メキシコ政府は12日現在、新型による感染者数は2059人、死者数56人と公表している。しかし実態は不明で、新型の正確な致死率や感染力は分かっていない。
研究チームは、データが正確な欧米の感染者数を基に、メキシコの出入国者数、感染者の広がりなどから逆算し、メキシコでは4月末までに6000-3万2000人の感染者が発生、致死率は0・4%に上るとする推計をまとめた。
その結果から、致死率は約4000万人が死亡したとされるスペインかぜ(1918年)よりは低いが、アジアかぜレベルの強さがあると見ている。感染力についてはスペインかぜなど過去の新型インフルエンザに比べると、同等かやや低いが、季節性のインフルエンザよりは高いと見られるとしている。
流行は2月中旬にメキシコ・ベラクルス州のラグロリアで始まったと見られ、この地域では15歳未満の61%が発症したのに対し、15歳以上は29%の発症率にとどまっていた。研究チームは「重症度は、国の医療事情などによって変わるだろう。今後も、詳しい症例データを収集する必要がある」と指摘している。
通常インフルと多い共通点 新型ウイルスの特徴
2009年5月11日 提供:共同通信社
これまでに明らかになった新型インフルエンザ(H1N1型)の感染の仕組みや症状、ワクチンや薬の現状をまとめた。通常のインフルエンザと共通点が多いが、違いも幾つか分かってきた。
▽2メートル以内で感染も
通常のインフルエンザと同様、患者のせきやくしゃみのしぶきに含まれるウイルスを吸い込む「飛沫(ひまつ)感染」が主とみられている。一般に患者から約2メートル以内の距離にいると感染の恐れがあるとされる。ウイルスが付着した物に触った手で口や鼻に触れることでウイルスが体内に入り、感染することもある。
感染してから症状が出るまでの潜伏期間は1-5日、長くて7日程度ではないかとみられる。一方、他人に感染させる恐れがあるのは、症状が出る1日前から発症後7日程度とされる。
▽少ない重症者
ウイルスの感染力は強いとみられるが重症患者は少ないとされている。
国立感染症研究所によると、米国患者44人の分析では、96%に高熱(平均39度)があり、せき、のどの痛み、筋肉痛など典型的なインフルエンザの症状が多く報告された。目を引くのは、通常のインフルエンザには珍しい、下痢の症状が約半数の患者にみられたことだ。
もう一つ、専門家が注目するのは、通常のインフルエンザでは重症化しやすい60歳以上の患者がほとんどおらず、10代など若い世代の患者が目立つ点。米疾病対策センターの最近の報告によると、患者の60%は18歳以下、51歳以上はわずか5%だった。高齢者は過去に似たウイルスに感染するなどし、何らかの免疫を持っているのでは、との見方もあるが、現時点では未解明だ。
▽ワクチンと薬
新型インフルエンザのH1N1型というウイルスの型は、毎年流行しているAソ連型と共通。だがこれまでの研究によると、通常のインフルエンザワクチンを接種していても効果は期待できないという。新型インフルエンザのワクチンはまだなく、製造には半年程度かかる見通しだ。
このため当面は、抗インフルエンザ薬であるタミフルとリレンザが医療面の対策の柱になる。タミフル、リレンザとも症状が出て早期に投与すれば有効とされている。
厚生労働省によると、国と都道府県でタミフル(3380万人分)とリレンザ(270万人分)で計3650万人分を備蓄済み。さらにタミフル830万人分の備蓄を上積みする。
▽予防には手洗い
感染予防にはせっけんを使った手洗いのほか、睡眠と栄養を十分取って健康管理に気を付けることが大切。人込みはできるだけ避けるなど、通常のインフルエンザ予防と同様の心掛けが必要だ。
「未報告の死者がいる」 メキシコ医師ら“告発”
2009年4月28日 提供:共同通信社
【ロンドン27日共同】「報告されていない若者の死者がいる」「状況はコントロールされていると言うにはほど遠い」-。英BBC放送は27日までに、豚インフルエンザ感染の震源地メキシコの医師らが生々しい被害実態を“告発”した投稿をウェブサイトやラジオ番組で公開した。
メキシコ市の呼吸器系疾患専門医アントニオ・チャベス氏は「1日に3人から4人が死亡する事態が2週間以上前から続いている」として、感染者の死亡率は「メキシコ当局の報告より高いのが真実だ」と指摘。20歳から30歳までの若い世代が「望みを失った医師らの目の前で」次々と亡くなっていくことに、深い悲しみに襲われると吐露した。
さらにメキシコ市の医師グアダルーペさんによると、必要な検査が実施されなかったため豚インフルエンザとは報告されていない若者の死亡ケースが数例あるという。
南部オアハカのアルバロ・リカルデス氏は「病院で働く友人らは、状況はとても悪く、医師と看護師を含め19人が死亡したと話していた」と説明。また「彼らは本当の状況については口外しないよう言われている」として、当局による情報隠しの可能性も示唆した。
「新型」感染の疑いなら10歳代にもタミフル容認…厚労省
2009年4月30日 提供:読売新聞
新型インフルエンザが国内でも流行する可能性が高まっていることを受け、厚生労働省はインフルエンザ治療薬タミフルを、新型インフルエンザ感染が疑われる10歳代にも処方できるとする方針を明らかにした。
30日の衆院厚生労働委員会で、同省健康局の上田博三局長が答弁した。
タミフルを服用した子どもが飛び降りなどの異常行動をする事故が相次ぎ、同省は2007年3月から、原則として10歳代には処方を差し控えるよう、医療機関などに通知していた。
しかし、新型インフルエンザの治療にはタミフルが有効とされ、他に有効な治療法もないため、例外的に使用することを認めることにした。
患者に濃厚接触した子どもに、感染予防のためにタミフルを飲ませることについても、有効性や安全性について十分に情報を提供し、同意を得た上で可能にする考えを示した。
同省研究班はタミフル服薬が異常行動を引き起こすかどうか大規模調査を行ったが、結論はまだ出ていない。
ただし、インフルエンザそのものでも異常行動が起こることがわかっており、同省では、子どものタミフル服用にあたっては少なくとも2日間、子どもが1人にならないよう配慮するよう注意喚起している。
新型インフルエンザ、ほとんどが軽症者 投薬せずに回復 感染研推定
2009年5月1日 提供:毎日新聞社
新型インフルエンザ:ほとんどが軽症者 投薬せずに回復--感染研推定
国立感染症研究所は30日、今回の新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)による感染者数の状況を推定した。感染者数が今後増加しても、多くが軽症ですみ重症例は少ない可能性が高いとしている。
同研究所の岡部信彦・感染症情報センター長らは4月29日深夜、米疾病対策センター(CDC)やメキシコ、カナダなどによる世界保健機関(WHO)の電話会議に参加。米国ではほとんどの感染者が軽症で、毎年流行するインフルエンザと同じ気道症状にとどまり、タミフルなどの治療薬を投与しなくても回復している。また、メキシコの重症患者は、他の病院で服用している薬による免疫低下などが原因とみられるという。【関東晋慈】
10代のタミフル問題なし 厚労省、新型インフルで
2009年5月1日 提供:共同通信社
新型インフルエンザ対策の柱として国家備蓄が進められる一方で、通常のインフルエンザでは10代の患者への使用が原則中止されている治療薬タミフルについて、厚生労働省は30日、「新型感染の危険性を慎重に考慮した上で、10代でも治療や予防に使用できる」との見解をまとめた。
同日午前に開かれた衆院厚生労働委員会でも、上田博三(うえだ・ひろぞう)健康局長が予防投与について「可能だ」との見解を表明。従来も、合併症などで「ハイリスク」と判断された10代の患者には使用されてきた。
ただ、今回の新型インフルエンザについては、鳥インフルエンザ(H5N1型)とは違う「弱毒性」とされ、重症度が必ずしも明確になっていない。このため同省内には「患者の症状の重さと薬の副作用のリスクを、現場で慎重に見極め判断してほしい」(安全対策課)との声が出ている。
同省の新型インフルエンザ専門家会議議長の岡部信彦(おかべ・のぶひこ)国立感染症研究所感染症情報センター長は「海外の患者の症状の情報を得ながらの判断になるが、分からない場合はタミフルを使った方が有利だと個人的には考える」と話す。岡部さんによると、米国ではタミフルなどのノイラミニダーゼ阻害剤の早期投与により、症状が早く改善するとの報告が出始めているという。
タミフルは1歳未満の乳児への安全性、有効性は確立していないとされるが、患者が急増している米国では、食品医薬品局(FDA)が同日までに「感染による死亡の危険性が高い」として、1歳未満に対しても緊急使用許可を出した。
厚労省によるとタミフル備蓄量は、国と都道府県で3380万人分を確保済み。近く830万人分を上積みするとしている。
【米国で感染急拡大 欧州の増加が焦点 WHO、総会会期大幅短縮 大流行認定へ分析継続
2009年5月8日 提供:共同通信社
【ジュネーブ7日共同】米疾病対策センター(CDC)は7日、米国内で新型インフルエンザに感染した人の数が41州の計896人に上ったと発表した。5日時点の403人から2倍以上に急拡大した。
英国やフランスでは7日も感染者が増加。世界保健機関(WHO)は世界的大流行(パンデミック)の正式認定となる警戒水準(フェーズ)の「6」への引き上げの是非をめぐり、感染状況の分析を精力的に続けた。焦点は感染者が急増中の英国とスペイン。「引き上げは時間の問題」と話す関係者もおり、緊迫した状況が続いている。
WHOでインフルエンザ対策全般を統括するフクダ事務局長補代理は7日の定例記者会見で、警戒水準を現時点では「5」に据え置く考えを示した。一方、WHO事務局内には「内部の評価としては既に『6』だ」との認識が出ているほか、引き上げの是非を事務局長に勧告する緊急委員会のメンバーに、委員会開催に備えて待機要請が出されている。
各国の保健当局がインフルエンザ対策に忙殺される中、WHOは同日、最重要会議である総会の会期を当初予定の今月18-27日から18-22日に大幅短縮することで基本合意した。
一部のWHO関係者によると、感染疑いの人に対する米欧間の検査基準に違いがあるほか、欧州連合(EU)内の調整が難航。パンデミック認定に予想以上の時間がかかっているもようだ。
英国とスペインの感染確認数はそれぞれ34人と81人で、メキシコや米国、カナダに次ぐ感染数。欧州で、感染源の特定が不可能な地域社会レベルの感染拡大が確認されれば、パンデミックが認定される。
英、スペイン両国で既に「人-人-人」の感染報告が出ているとの情報もあるが、フクダ氏は6日、一部記者団に対し、感染は学校内など閉鎖的な空間に限られており「感染源が特定できないような地域社会レベルの流行に至ったとの証拠はない」と警戒水準維持の理由を説明した。
女性、青年層に死者多数 新型インフル解明これから
2009年5月8日 提供:共同通信社
【メキシコ市7日共同】新型インフルエンザ感染拡大の中心になったメキシコは「事態が落ち着きつつある」として市民生活正常化の方向へ歩み出した。女性や青年層に死者が多い一方、ウイルスについての解明はこれからだ。政府の発表などを基に、このインフルエンザの特徴をまとめた。
▽症状
世界保健機関(WHO)のフクダ事務局長補代理によると、潜伏期間は1日から1週間程度。
最初に感染が確認された死者19人のうち84%が高熱、74%がせき、63%が呼吸困難、50%が片頭痛の症状を訴えた。鼻水、筋肉痛といった症状も現れたという。
▽感染力
1人の患者から感染する平均人数で感染力を示す指標は1.4。季節性のインフルエンザは1.3といい、メキシコのコルドバ保健相は「それほど高くないようだ」との認識を示している。
7日午前までの感染確認者は1204人で死者は44人。感染が確認された人のうち3・7%が死亡した計算になる。
▽男女差
5日朝までのデータによると、感染者のうち女性は50・9%で男性は49・1%。同国の人口構成にほぼ一致しており、有意な差は認められていない。
ただ、死者数では差がある。6日朝までの死者42人のうち女性が24人、男性が18人。保健相は「女性がこのウイルスに対して抵抗力が弱いなど、生理学的、病理学的な観点からは明確な説明はない」と述べる一方で「特に医療サービスへのアクセスという点で男女の間に差がある。一般的に、エイズウイルスの際と同様に、社会的な要因により病院に行くのが遅い」と述べ、男性優位社会で女性が病院に行くのが遅れる傾向を指摘した。
▽年齢差
5日朝までの感染確認者866人の内訳は0-9歳で224人、10-19歳で216人、20-29歳で177人で、年齢層が上がるほど少なくなっている。
一方、6日朝までの死者42人のうち16人が20-29歳、9人が30-39歳の年齢層に含まれ、20、30代が半数以上を占めた。
保健相は、若い世代は初期症状が出た段階では医者にかからない傾向が強く、自己診断で薬を飲むなどして対処しようとしているうちに手遅れになったとの仮説を示す。
メキシコだけ、他国に比べて死者が多い理由については、最初にメキシコで感染が広がったために他国では対応が間に合ったという要因を指摘しているが、科学的な理由付けはできていない。
▽感染地域
6日朝までのデータによると、感染者が多いのはメキシコ市で、全体の68%。隣接するメキシコ州は12%、中部サンルイスポトシ州7%、同トラスカラ州5%で、中部に偏っている。
ワクチン製造へ本格調整 「季節性」との配分が鍵
2009年5月8日 提供:共同通信社
【ジュネーブ7日共同】世界保健機関(WHO)は世界的大流行(パンデミック)認定が現実味を増している新型インフルエンザ用のワクチン製造の開始に向け、7日までに製薬業界や利害関係国との本格的な調整に入った。
WHOのキーニー・ワクチン研究部長によると、製造開始にゴーサインを出すかどうかをチャン事務局長が専門家に諮る初会合を14日に開く。米疾病対策センター(CDC)が培養を進めている、ワクチン開発の鍵となる「ウイルス株」は5月後半にも世界のワクチンメーカーに分配される予定。順調に行けば今秋には新型ワクチンの本格流通が始まる見通しだ。
新型ワクチン製造には通常の季節性インフルエンザ用ワクチンの生産設備が使われる。季節性だけで年間25万-50万人が死亡するとされており、「パンデミック寸前」とはいえ、7日時点で世界の確認死者数が50人以下にとどまっている新型インフルエンザ向けワクチンをどの程度製造し、いかに通常ワクチン生産への影響を抑えるか、WHOや各国当局は難しい判断を迫られる。
一方、大手ワクチンメーカーが欧米の先進国に集中しており、新型ワクチンの「公平確保」を訴える発展途上国にどう分配するかも難問だ。チャン事務局長と国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は19日に世界の製薬企業トップをジュネーブに招き、途上国向け新型ワクチンの確保を要請する考え。
キーニー部長は、既に新型ワクチンについて2億人分の発注を受けているメーカーもあり「WHOとして詳細を照会中だ」と指摘。水面下で新型ワクチンの「争奪戦」が始まっているもようだ。
またインドなどワクチン製造に意欲を見せる新興市場国の医薬品メーカーに、欧米メーカーが先進的な製造技術の特許をいかに開放していくかなど南北間の厳しい交渉も予想される。
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新型インフルエンザ
「迅速診断キット陰性」が感染確定者の半数弱◆Vol.14
新型インフルエンザの臨床像が明らかに、神戸市43人の報告
2009年5月21日 橋本佳子(m3.com編集長)
国立感染症研究所感染症情報センターと神戸市保健所は5月20日、新型インフルエンザ感染が確認(RT-PCR陽性者)された43人の臨床像を報告した。迅速診断検査キットで陽性は43人中23人(53.5%)にとどまり、20人(46.5%)は陰性であることが明らかになった(感染研のホームページ)。
検体の採取日の中央値は1日(0~4日)。陰性になった理由として感染研では、「発症から検査までの期間が短いことも影響していると考えられる」としている。迅速診断検査キットの感度は100%ではない上、感染初期にはウイルス量が少ないため陰性になることがあるほか、検体採取の方法によっても左右されることが、季節性インフルエンザでも分かっている。
なお、5月20日、首都圏(東京都八王子市と神奈川県川崎市)では初めての感染確認者が出たが、5月19日の帰国時の成田空港での検疫では、サーモグラフィーで発熱反応があったが、迅速診断検査キットでは陰性だった。迅速診断検査キット、さらには迅速診断検査キットでの陽性反応をベースにした検疫の限界が露呈した格好だ。
発熱が約90%、嘔吐・下痢も約10%に
43人の年齢は5~44歳(中央値17歳)で大半は10代後半。昨シーズンのインフルエンザワクチン接種者は42人中22人(52.4%)。
入院時の臨床症状としては、約90%の患者で見られたのが38℃以上の高熱。そのほか、60~80%に倦怠感、熱感、咳、咽頭痛、約50%に鼻汁・鼻閉、頭痛、約10%弱に嘔吐・下痢、7%に結膜炎がそれぞれ見られた。
『New England Journal of Medicine (NEJM)』5月7日号オンライン版では、今回の新型インフルエンザでは、季節性インフルエンザの典型的な症状のほか、非定型的な徴候を起こし得るという、米CDC(米疾病対策センター)の研究を報告している(m3.com専門医療ニュース:5月13日)。下痢と嘔吐がそれぞれ約4分の1に見られるとしており、日本の感染者でも割合は少ないが消化器症状が確認された。
治療では、43人中39人が抗インフルエンザウイルス薬の投与を受けていた。タミフル19人、リレンザ吸入20人。年齢別に見ると、9歳以下の1人はタミフル、10歳代の36人のうちタミフル13人、リレンザ20人、非投与3人などとなっている。
海外ウイルスと遺伝子一致 感染研、成田の検体で確認
2009年5月20日 提供:共同通信社
国立感染症研究所は19日、成田空港に今月8日に帰国後、新型インフルエンザ感染が確認された患者からウイルスを分離して解析した結果、米国やメキシコなど世界各地で分離されたウイルスと遺伝子レベルでほぼ一致したと発表した。
感染研の小田切孝人(おだぎり・たかと)インフルエンザウイルス研究センター第1室長は「米国、メキシコ、カナダ、成田のウイルスはほとんど違いがなく、均質なウイルスが世界に広がっている」と述べた。
感染研では成田で採取したウイルスのほか、米疾病対策センター(CDC)から提供を受けたウイルスを使ってワクチン製造に必要な「種(たね)ウイルス」の開発を進めている。
種ウイルス開発は各国で進められているが、小田切室長は「恐らく来週にも世界保健機関(WHO)がワクチン株としてどの国の種ウイルスを推奨するのかを決めるのではないか」との見通しを明らかにした。
妊産婦のインフル対応公表 日本産科婦人科学会
2009年5月20日 提供:共同通信社
日本産科婦人科学会は20日までに、妊産婦が新型インフルエンザに感染した場合の対応をQ&A方式でまとめ、厚生労働省のホームページ(http://www.mhlw.go.jp/)で公表した。
通常の季節性インフルエンザでは、妊婦が感染すると肺炎などを起こす可能性があり、重症化すると胎児にも影響があり得ることを紹介。新型についてはデータが不足しているものの、季節性と同様の影響が推定されるとしている。
このため、感染した場合は医師と相談の上で、治療薬のタミフルやリレンザを服用することを推奨。2007年の米疾病対策センター(CDC)の指針によると、これらの薬には、妊婦や出生した赤ちゃんに対する副作用の報告がないと解説している。
薬を服用しながらの授乳も問題はないが、赤ちゃんへの感染を避けるため、頻繁な手洗いやマスクの着用を勧めている。
http://www.mhlw.go.jp/
新型インフル 発熱対応「限界寸前」 クローズアップ2009
2009年5月18日 提供:毎日新聞社
クローズアップ2009:新型インフル 発熱対応「限界寸前」
<世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
新型インフルエンザの感染が拡大する大阪や兵庫では、急増する受診者への対応に医療機関が苦慮している。保健所の発熱相談センターには電話が殺到し、検査キットなどの不足を訴える医師も多く「限界に近づきつつある」と悲鳴が上がる。感染がさらに広がれば、診察する医療施設は発熱外来から全施設に広げられる。だが、診療した医師が「濃厚接触者」として自宅待機させられたり、感染しても休業補償する制度はなく、国の対策の不十分さが浮かんでいる。
◇やまぬ電話、医師に休業補償なし--大阪・兵庫
「1週間分の相談電話が1日でかかってきた。電話が鳴りやまない」。大阪府の発熱相談センターの担当者は疲れた表情を見せた。
各保健所などのセンターには17日午前までの24時間で1039件の相談が寄せられた。大阪市のセンターに17日午前9時-午後5時半に381件、神戸市のセンターには16日588件の相談が殺到し、パンク寸前だ。回線を増やすなど対応する方針だが、情勢は不透明だ。
神戸市では、発熱相談センターの電話につながらなかった人などが、相談なしに市内の医療機関の発熱外来に直接来院するケースも相次いでいる。担当者は「現場は混乱して戦場のようだ。受け入れ能力は限界に近づきつつある」。電話がつながらなかった人に対応するため玄関前で独自に簡易検査をする民間病院まで現れた。
17日、新型インフルの感染拡大を受けて開かれた大阪府医師会の臨時代議員会。代議員の医師たちが「検査キットもタミフルも足りない」と窮状を訴えた。会場でアンケートしたところ、出席者の25%が検査キットを備えていないと答え、大半がタミフルなどの備蓄が不十分と答えた。
感染者は日々増加している。代議員会では「(数日内に)パンデミックになる」と指摘する医師もいた。感染症指定医療機関は大阪、京都、兵庫の3府県で計168床に過ぎない。感染が拡大すれば指定医療機関ではない一般医療機関が対処することも考えられる。
実際、国の行動計画は対策が第3段階の「まん延期」に入ったら、入院を重症者のみに絞り、軽症者を自宅療養に切り替えるとしている。「間もなく私たちが(新型インフルの治療を)引き受けざるを得なくなる」。医師たちは、タミフルなどの入手が困難な状況を訴えながら、行政に早急な対策を求めた。
16日にあった神戸市医師会の会議では新型インフル患者を診察した開業医が、他の患者に感染を拡大させる可能性があるとして厚生労働省に休業を“指導”されたことが報告され、開業医から不満が噴出した。こうしたケースについて厚労省は、医療の萎縮(いしゅく)を招かないよう近く対応の手引きを示すことにしており「患者と医師の双方が、(効果のある)不織布マスクを着けていれば濃厚接触者にならないのではないか」と話す。
一方、日本医師会は、発熱外来で働く医師が新型インフルエンザに感染した場合の休業補償を求めているが、厚労省は「医師確保のため契約でいろいろな対応をしている自治体もあるが、国としての休業補償は難しい」と説明する。【野田武、酒井雅浩、田中龍士、清水健二】
◇患者の大半、なぜ高校生? 長時間の集団生活/スポーツで体接触
カナダから帰国した国内最初の患者をはじめ、高校生の感染が目立つ。国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は科学的結論は出ていないとしながらも「高校生は学校という狭い空間で長時間集団生活し、行動範囲も広い。小中学生らよりは感染の機会が多く、感染のしやすさにつながっているのではないか」と話す。
今回、米国でもニューヨークの中・高校の集団感染がきっかけとなり、感染が広がった。米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に今月掲載された米国内の患者を分析した論文によると、4月15日-5月5日に感染が確認された642人の6割が18歳以下で、16%が学校での集団感染で発症していた。
鈴木宏・新潟大教授(国際感染症学)は「年齢が高い人が新型に対し何らかの免疫を持っている可能性は否定できないが、高校生のクラブ活動などの行動パターンが関係しているかもしれない。過去にも剣道やバスケットボールなどの大会を通じて、麻疹(ましん)(はしか)が流行したことがある。スポーツは身体が接触する機会が多いし、声を掛け合うなど感染を広げやすい」と指摘する。
また、ウイルスの感染力は年代によって変わらないとされるが、症状の出方が異なることはよくある。たとえば、子どもの麻疹は症状が軽いが、大人になってかかると重症化する。浦島充佳・東京慈恵会医科大准教授(小児科学)は「(新型インフルは)10代後半の若者が感染すると発症しやすい特徴を持つ可能性がある。若者は免疫反応が強く出るため症状が重くなりやすいとも言われている」と指摘する。インフルエンザは症状が重いとそれだけウイルスが多く作られ、他者を感染させやすい。これらの要素が組み合わさって、高校での感染が広がっている可能性はある。【永山悦子、下桐実雅子、江口一】
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■視点・新型インフル
◇軽症者の隔離、入院は不要--元世界保健機関鳥インフルエンザ薬物治療ガイドライン委員会委員の菅谷憲夫・けいゆう病院小児科部長の話
国内感染が確認されたばかりであり、国民感情を考えれば、最初は休校や行事中止などの措置も仕方ない。だが、政府は今回の新型インフルエンザの症状が季節性インフルエンザと変わらない、と説明している。それならば、従来の季節性インフルエンザと同様の対応をすればよいのではないか。
休校するとしても、対象は発生した学校だけで十分だ。子どもが保育園や学校へ行けなくなると、親も仕事を休まなければならなくなる。その社会的なマイナスの方が大きい。
患者が増えれば、発熱外来から患者があふれるだろう。今後は、すべての病院・診療所が通常通り診察すればいい。軽症者を隔離して入院させることも不要だ。海外渡航歴などの有無を診断基準にすることもナンセンスだ。
大阪府の橋下徹知事が国に季節性インフルエンザと同様の対策を求めたことは、理解できる。水際対策から国内の医療体制整備に切り替える時期だ。
過度に恐れる病気ではない。だが、発症48時間以内の治療薬の投与や、持病のある人への適切な治療体制の確保は欠かせない。【聞き手・江口一】
国内感染拡散 どこでもマスク、マスク
2009年5月18日 提供:毎日新聞社
新型インフルエンザ:国内感染拡散 どこでもマスク、マスク
新型インフルエンザの感染者は17日も大阪と兵庫で増え続けた。しかし大阪市は神戸市などと異なり、学校休校措置や集客施設への休業要請を見送った。背景には、弱毒性とされる新型インフルエンザへの過度な対応の結果「都市機能がマヒする」との懸念が見え隠れする。「国は再考を」(平松邦夫大阪市長)。「国は毒性に関する知見を明確に」(橋下徹大阪府知事)。地方から悲鳴が上がった。
「新型インフルエンザは弱毒性とされており、強毒性とされる鳥インフルエンザを想定した対応とは異なる」。平松市長は17日の記者会見で、強調した。
人口約265万人、昼間人口は350万人を超える大阪市。月曜の18日には、通勤や通学で関西一円から人が流れ込む。それだけに感染拡大を阻むための市の対応が注目されたが、結論は「毒性が弱く、冷静な分析が必要だ」として休校などの措置を見送った。
平松市長は今回の措置について「社会経済活動を止める強毒性の鳥インフルエンザとは違うことを分かってほしい」と市民に理解を求めた。さらに「みんなが怖がってしまっていいのか。弱毒性だとこれだけ言われている。国も再考してもらいたい」と訴えた。市幹部は「一斉の休校や施設の自粛要請は、都心部では影響が大き過ぎる。交通網が張り巡らされており、効果も疑問だ」と指摘した。
橋下知事も17日、会見で「どこかで通常のインフルエンザの対応に切り替える必要があるのでは。今の国の方針のままだと都市機能がマヒしてしまう」との懸念を示した。
一方、毎日延べ約60万人が通る大阪・キタの地下街「ホワイティうめだ」。この日も飲食店などに大勢が詰めかけた。管理会社は「買い物客らに『マスクなしでは通らないで』とは言えない。終息を願うだけ」と淡々と話した。
ミナミのアメリカ村でもマスク姿の若者が見られた。マスクを着けていない京都市中京区の高校1年の女子生徒(16)は「新型は普通のインフルエンザと同じぐらいの毒性と聞いた。それほど心配していない」と冷静。大阪市此花区の米映画テーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を訪れた名古屋市の会社員、中島朋美さん(20)は「感染は怖いが、予定をキャンセルするのも嫌なので、マスクを着けて来た」と話していた。
◇関西「終息願うしか…」
生徒の感染が相次いで明らかになっている関西大倉高校(大阪府茨木市)では17日も、宮之前隆春校長(72)が会見。「多くの生徒に感染が広がっていくのではないかと心配。全校生の家庭と連絡を取って健康状態を確認している」と沈痛な表情で話した。同校は休校期間を23日まで延長。25日からの中間試験も延期する。
兵庫県高砂市の県立高砂高では、生徒3人の感染が確認された。富樫暁宏校長は「簡易検査で陽性だったので覚悟はしていたが、やはりショックだ。生徒の一日も早い回復を祈るとともに、まん延防止に努めたい」と厳しい表情で語った。
同校によると3人は1年女子(15)と2年男子(16)、3年男子(17)で、いずれもバレー部。16日朝、既に感染者が出ていた神戸高の校長から富樫校長宅に「10日に高砂高で両校の男子バレー部が練習試合をした」と電話連絡があり、部員らの健康状況を確認。一部が発熱などの症状を訴えており、うち3人の感染が17日夕に確認された。3人が入院した同県加古川市の加古川市民病院によると、全員快方に向かっているという。【久野洋】
日本医師会、医師感染の際の補償制度を要望 新型インフルエンザ
2009年5月16日 提供:毎日新聞社
新型インフルエンザ:日本医師会、医師感染の際の補償制度を要望
日本医師会など医療関係4団体の会長が15日、新型インフルエンザ対策について舛添要一厚生労働相と意見交換し、検疫をすり抜け国内で感染者が発生することを前提とした態勢強化を申し入れた。
各団体は、発熱外来で働く医師が感染した場合の補償制度創設(日本医師会)▽感染者の緊急治療に備えた歯科診療所内の陰圧室設置(日本歯科医師会)▽感染管理の認定看護師の活用(日本看護協会)▽自己注射できるワクチンの開発(日本薬剤師会)--などを要望した。【清水健二】
国内の感染130人に 学校から拡大、企業にも 大阪、
兵庫全域で休校 新型インフルエンザ
2009年5月18日 提供:共同通信社
新型インフルエンザの国内発生は18日、大阪府や兵庫県で新たに34人の感染者が確認され、成田空港の検疫段階で見つかった4人と合わせ、国内の感染者は計130人となった。厚生労働省などが発表した。感染者はこれまでの学校中心から、企業など市中に拡大した。
神戸市中央区にある三菱東京UFJ銀行の三宮支店の20代の女性行員や、同市にあるJR三ノ宮駅の売店の50代の女性店員も感染が判明。銀行は同支店の行員など約60人を自宅待機にし、JRの複数の売店が休業した。
大阪府や兵庫県ではインフルエンザ症状を訴える人が相次いでおり、本格的な流行が始まった可能性がある。
大阪府の橋下徹知事は18日未明の記者会見で、新型インフルエンザの「流行警戒宣言」を出した。
大阪府では18日から全域で中学校と高校が1週間の休校。大阪市もすべての市立小中高、幼稚園、特別支援学校を、堺市は市立の中学、高校を、それぞれ24日まで休校とすることを決めた。兵庫県もすべての県立校の休校を決め、公立と私立の小中高に5日間の休校を要請した。神戸市は一部の区での措置を拡大。すべての市立幼稚園、小中高校と特別支援学校を22日まで休校にした。
厚生労働省も両府県に休校を要請した。
今後、患者が増えて医療機関がパンク状態になる恐れがあるが、今回のウイルスは通常のインフルエンザ並みとみられる。このため大阪府と兵庫県は、入院患者が回復して重症化の恐れがなくなった場合、退院させて自宅療養とするかどうかの判断を医師に委ねる方針を決めた。
神戸市では5歳男児や60代男性が感染。大阪府八尾市でほかの感染者との接触歴が判明していない小学6年女児が感染するなど特異なケースも出ている。
高槻市では、多数の感染者が確認された私立関西大倉高校(大阪府茨木市)の生徒と教員、生徒の家族が新たに感染。学校から家庭に拡大している懸念もある。
週明けを迎えた駅ではマスク姿の通勤客が目立ち、各地で野球やボランティアイベントなどが中止された。
国内の感染130人に 学校から拡大、企業にも 大阪、兵庫全域で休校 新型インフルエンザ
2009年5月18日 提供:共同通信社
新型インフルエンザの国内発生は18日、大阪府や兵庫県で新たに34人の感染者が確認され、成田空港の検疫段階で見つかった4人と合わせ、国内の感染者は計130人となった。厚生労働省などが発表した。感染者はこれまでの学校中心から、企業など市中に拡大した。
神戸市中央区にある三菱東京UFJ銀行の三宮支店の20代の女性行員や、同市にあるJR三ノ宮駅の売店の50代の女性店員も感染が判明。銀行は同支店の行員など約60人を自宅待機にし、JRの複数の売店が休業した。
大阪府や兵庫県ではインフルエンザ症状を訴える人が相次いでおり、本格的な流行が始まった可能性がある。
大阪府の橋下徹知事は18日未明の記者会見で、新型インフルエンザの「流行警戒宣言」を出した。
大阪府では18日から全域で中学校と高校が1週間の休校。大阪市もすべての市立小中高、幼稚園、特別支援学校を、堺市は市立の中学、高校を、それぞれ24日まで休校とすることを決めた。兵庫県もすべての県立校の休校を決め、公立と私立の小中高に5日間の休校を要請した。神戸市は一部の区での措置を拡大。すべての市立幼稚園、小中高校と特別支援学校を22日まで休校にした。
厚生労働省も両府県に休校を要請した。
今後、患者が増えて医療機関がパンク状態になる恐れがあるが、今回のウイルスは通常のインフルエンザ並みとみられる。このため大阪府と兵庫県は、入院患者が回復して重症化の恐れがなくなった場合、退院させて自宅療養とするかどうかの判断を医師に委ねる方針を決めた。
神戸市では5歳男児や60代男性が感染。大阪府八尾市でほかの感染者との接触歴が判明していない小学6年女児が感染するなど特異なケースも出ている。
高槻市では、多数の感染者が確認された私立関西大倉高校(大阪府茨木市)の生徒と教員、生徒の家族が新たに感染。学校から家庭に拡大している懸念もある。
週明けを迎えた駅ではマスク姿の通勤客が目立ち、各地で野球やボランティアイベントなどが中止された。
H1N1型インフルエンザは非定型的な徴候を起こしうる:NEJM研究
2009年5月13日 提供:Medscape
『New England Journal of Medicine』オンライン版に掲載された一連の記事の中で、CDC研究者や公衆衛生研究者が、現在のH1N1型A型インフルエンザの流行の臨床的特徴を詳細に記述し、それに近縁の3種再集合ウイルスが動物からヒトに移行する可能性について論じた
Neil Osterweil
【5月8日】米国疾病管理センター(CDC)と州・地域の公衆衛生当局の研究者らが、A型ブタインフルエンザ(H1N1)ウイルスの現在の流行における米国の最初の症例642例の詳しい臨床情報を発表した。
『New England Journal of Medicine (NEJM)』5月7日号オンライン版に掲載されたその結果によれば、発熱、咳、のどの痛みといった一般的なインフルエンザの徴候の他に、下痢が4分の1の患者に、嘔吐も4分の1の患者に現われた。
したがって、医師と患者は季節性インフルエンザの通常の症候と非定形的な消化管徴候の両方について気をつける必要があると、筆頭著者であるCDC疫学調査局(Epidemic Intelligence Service)のFatima S. Dawood, MDが記者会見で語った。
研究者らによれば、「見つかった患者には限定的な病態と、呼吸器不全や死亡といった重度の転帰の両方が観察されており、その臨床所見は、ブタ由来インフルエンザウイルスの早い段階の株の感染者で見られるものと同様の広い範囲にわたる。」
遺伝子分析によって、現在の感染の原因ウイルスは北米ブタインフルエンザの系統ではなくユーラシア大陸に起源を持つH1型ウイルスであることが分かっている。
やはりNEJMオンライン版に掲載された関連報告においてCDCと自治体衛生担当当局が、現在の流行に先立って起きた、ブタからヒトに伝播したものとされる3種再集合ウイルスによる小規模なヒトでの散発的インフルエンザ症例群について記載している。その著者らは、発熱性呼吸器疾患がある患者にブタや家禽・野生鳥類へ最近曝露した履歴がある場合には、動物性インフルエンザを想定に入れることを医師に勧めている。また著者らは、ブタに接触したヒトでの3種再集合インフルエンザ感染の散発的症例は、より大規模な流行の前哨であると考えられると、警告している。
ウイルスのこの2つのグループは感染力がまったく異なっているが、「いずれのウイルスともヘマグルチニンH1型であり、1918年にヒトおよびブタで出現し、どちらウィルスもその後進化をして、異なるH1型ウイルスになったものである」とセントルイス大学(ミズーリ州)感染症免疫科のRobert B. Belshe, MDが関連解説記事に書いている。
「現在の状況は『1918年の再来』ではなく、『1918年の延長』であり、1918年に汎流行したインフルエンザウイルスの残党に我々は今でも感染し続けているのだ」とBelshe博士は記している、
流行の詳細
現在の流行の最初の数百症例をまとめたDawood博士らによれば、季節性インフルエンザの流行による死亡(年間およそ36,000人)の大部分が、一次性ウイルス性肺炎や二次性細菌性肺炎(特に連鎖球菌性とブドウ球菌性肺炎)といった続発性合併症による死亡と、すでに存在していた疾患の悪化による死亡で占められている。
「これらと同様の合併症がS-OIV(ブタ由来インフルエンザウイルス)感染で起こりうる」と博士らは記している。「S-OIV感染で重度の合併症のリスクがもっとも高い患者は、5歳未満の幼児、65歳以上の高齢者、慢性の医学的問題を基礎に持つ小児と成人、妊娠女性といった重症季節性インフルエンザでリスクがもっとも高いグループがおそらく含まれるが、それに必ずしも限定されるわけではないようである。これまでに発見されてS-OIV感染が確認された入院患者で、データが揃っている22例のうち、12例は重症季節性インフルエンザのリスクが大きくなる特徴(妊娠、慢性の医学的問題、5歳未満)を持っていたが、65歳以上の患者は一人もいなかった。」
確認された症例数は全国から報告が新たに入ってくるたびに増加する一方だが、CDCが確認した最初の642症例に対するリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法による調査によって、今回世界中に広がりつつある大流行の特徴が明らかになってきている。
この報告は、CDCが2009年5月5日までに確認した642症例を扱っている。最初に判明した2症例は、発熱、咳、嘔吐のために3月30日にサンディエゴの救急診療所にやってきた喘息を持つ10歳の男児(サンプルが確認されたのは4月15日)と、咳と発熱のために外来診療所にやってきたカリフォルニア州インペリアル郡在住の9歳の女児(サンプルが確認されたのは4月17日)である。研究者らは、この2症例は疫学的に無関係であり、いずれも最近ブタに曝露した経験はないと判定した。
このウイルスに対する感受性がもっとも強いのは十代までの小児であり、高齢成人は感染しにくいらしく、患者の40%が10歳から18歳までの年齢であり、51歳以上の患者は5%しかいないことが分かった。症状としては、94%に発熱、92%に咳、66%にのどの痛み、25%に下痢、25%に嘔吐があった。
入院の有無が判っている患者399例のうち入院が必要だった者は9%おり、年齢は19カ月齢から51歳までにわたっていた。入院が必要だった患者36例のうちデータが揃っている者は22例であり、そのうち4例(18%)が5歳未満の幼児であった。22例のうち慢性の医学的問題を持っている患者は9例であり、内容は先天性心疾患、喘息、リウマチ性疾患、関節炎、乾癬であった。
「患者の60%が18歳以下の若年者であるという所見から、小児および若齢成人のほうが高齢者よりもS-OIVに感染しやすいということか、社会的繋がりの違いゆえに高齢者への伝播が遅延しているということが考えられる。1976年のブタインフルエンザワクチンの血清学研究で示唆されているように、高齢者ではS-OIV感染に対する抗体をすでに持っていることである程度の交差免疫を備えている可能性も考えられる」と著者らは記している。
Dawood博士は記者会見において次のように述べている。「症例の多くは学校での流行で見つかっており、若年者のほうが検査を受ける傾向が強いために、現時点で症例を見つけ出す手法にバイアスがかかっている可能性もある。また、高齢者の一部の者は別のインフルエンザウイルスに対する抗体を保有していて、それが現在のウイルスに対して交差免疫をもたらしている可能性もある。」
背後に潜むウイルスたち
CDCとさまざまな地方自治体衛生当局の者からなるVivek Shinde, MD, MPHのグループが関連記事の中で、トリ、ヒト、ブタのインフルエンザウイルスの遺伝子が混ぜ合わさった3種再集合ウイルスによるインフルエンザの散発的症例11例について報告している。
3種再集合ウイルスの感染は、1990年代後半に北米の養豚業者で初めて発見されており、2005年12月から2009年2月までの間に11症例が確認された。その年齢は16カ月齢から48歳にわたる。
2例を除いた患者の全員が、ブタに接触したことがあった。接触は直接的(農業祭での解体、展示、取り扱い、または養豚場への来訪)と間接的(農業祭や、ブタが展示してある養豚場への来訪)があった。ミズーリ州の7歳男児の1例はブタまたは感染者に接触した事実は知られておらず、もう1例のアイオワ州の4歳女児はブタインフルエンザ感染が疑われる患者に接触した事実があった。
アトピー関連疾患を有する患者が3例おり(喘息が2例、アトピー性皮膚炎が1例)、免疫不全であることが判っている患者が1例いたが、その他の7例の患者はいずれも慢性疾患を有していなかった。現在の季節性インフルエンザ株に対するワクチンを摂取した者が3例いた。
臨床症状の記録がある患者10例のうち、発熱は9例、咳は10例、頭痛は6例、下痢は3例に見られた。
詳細な血液検査が行われた患者は4例おり、白血球減少が2例、リンパ球減少が1例、血小板減少が1例に見られた。入院が必要になった患者は4例おり、そのうち2例には機械的呼吸補助が必要だった。オセルタミビル(商品名タミフル、Roche社製)の投与を受けた者は4例おり、11例全員が回復した。
「この患者シリーズでは、ブタインフルエンザウイルス感染が最初から疑われた患者は、いたとしてもほんの少数だった」とShinde博士らは記している。「症例のほとんどは季節性インフルエンザのルーチン調査の一部である呼吸器標本のウイルス学的検査で発見されており、このことは、季節性インフルエンザウイルスと動物由来の新規のインフルエンザウイルスのいずれについても、感染者の検出には、インフルエンザのルーチン調査が重要であることを強く示している。」
インフルエンザウイルスは家畜や野生動物の集団の中で地方性動物疾患として存在する能力を持っているので、医師は、ブタ、家禽、野生鳥類に最近曝露した経験を持つ発熱性呼吸器疾患の患者を診る際には、特にその地域でヒトインフルエンザウイルスが循環していない場合には、動物由来インフルエンザウイルス感染の鑑別を考慮に入れることをShinde博士らは推奨している。
「ただし、新型のA型インフルエンザウイルスがヒトからヒトへ効率的に伝播するエビデンスがある間は、医師は最新の推奨に基づいて、感染の適切な疑い、診断、治療の間口を広くしておくことが必要である」と著者らは記している。
「最後ではない」
Belshe博士は解説記事において、「S-OIVの登場と拡散は、現代社会に良い点と悪い点をもたらした」と述べている。博士の指摘によれば、米国でブタ由来A型インフルエンザ(H1N1)の症例が初めて発見されてから数日のうちにそのウイルスのヘマグルチニンの遺伝子配列が決定され、公衆衛生の体制と調査手法が稼働し始め、そのウイルスの抗ウイルス薬への感受性が判定された。
「その反面で政治的には扇情的な姿勢が巻き起こったことは、医師や科学者から一般大衆に向けて有効なコミュニケーションを取る必要があることを示している」と博士は続けて述べている。「ある者はこう訊く。『どうして国境を封鎖しないのか?』(答え:効果がないから。)誤った指導によるブタの殺処分が起きた国もあった(エジプト)。しかしS-OIVはブタでは流行しない。ウイルスを拡散させるのは人間なのだ。そして、調査、公衆衛生対策、ワクチン開発への資金供与が拡大される必要がある。現在のS-OIV大流行は最新のインフルエンザウイルスであって、最後ではないのだ。」
Belshe博士は、MedImmune社とNovartis社のコンサルタントまたはスピーカーを務めていることを開示している。その他に、この報道に記載した論文に関係する金銭的利害関係はない。
Medscape Medical News 2009. (C) 2009 Medscape
3分の1が発熱せず 新型インフルで米医師指摘
2009年5月15日 提供:共同通信社
メキシコ市の病院で新型インフルエンザの感染者を調べた米国の医師が「患者のうち約3分の1に発熱がなかった」との報告をまとめた。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が13日、報じた。
発熱はインフルエンザの感染を見分ける重要な指標とされる。報告が事実なら、感染の早期発見と拡大防止が、これまで考えられていた以上に困難になる可能性がありそうだ。
同医師はメキシコ市の2つの病院で5月上旬、4日間にわたって検診に当たった。報告によると、重症者の多くは高熱を出したが、症状が軽い患者の半数ほどは発熱がなかった。せきや倦怠(けんたい)感は、ほぼすべての患者が訴えた。
また、患者の約12%が激しい下痢を起こしたという。同医師は、患者の便に新型インフルエンザウイルスが含まれているかどうか調べるようメキシコ側に促したと説明。「ウイルスが便を介して伝染すれば、特に発展途上国での感染拡大の抑止は難しくなるだろう」と話した。
重症率10%程度か 新型インフルで進藤医務官
2009年5月13日 提供:共同通信社
【ジュネーブ13日共同】世界保健機関(WHO)の進藤奈邦子(しんどう・なほこ)医務官は12日、新型インフルエンザに関する定例記者会見で、米国、メキシコ両国での患者のデータから、感染者のうち入院が必要な重症に至るケースが「9-10%に達する可能性がある」との見方を示した。
通常の季節性インフルエンザに比べて「明らかに」高率で、新型インフルエンザがこれまで考えられていた以上に強力な可能性がありそうだ。
WHOで新型インフルエンザ対策の技術部門を統括する進藤医務官は、致死率を0・1%程度とされる季節性インフルエンザより高い約0・4%とした米科学誌サイエンス(電子版)で発表された分析結果については「現在利用できる情報に基づいた最良の分析」として、今後変動する可能性があるものの、少なくとも現時点では妥当な分析だとの認識を示した。
進藤医務官は会見後、日本人記者団に対し、現在の感染状況について「水際作戦だけでは食い止められない。(既に)WHOの中ではパンデミック(世界的大流行)として次の行動に移っている」などと話し、感染被害の軽減に各国が努力すべきだと訴えた。
WHOは新型インフルエンザ発生後、毎日定例会見を開いているが、進藤医務官が出席したのは初めて。
新型インフルエンザ感染者、世界で5000人超 メキシコ433人増
2009年5月12日 提供:毎日新聞社
新型インフルエンザ:感染者、世界で5000人超 メキシコ433人増
◇31カ国・地域
【メキシコ市・庭田学】メキシコ政府は11日、新型インフルエンザの感染確認者数が9日の時点より433人増え、2059人になったと発表した。これにより世界の感染者数は、31カ国・地域で計5136人となった。(6、13面に関連記事)
また、メキシコの死者数は8人増え、56人となった。
世界保健機関(WHO)のケイジ・フクダ事務局長補代理は11日の会見で、「北米以外に地域レベルのウイルス感染が広がっている状況は確認されていない」と述べ、現状ではまだ最高レベルの「フェーズ6」への引き上げには至っていないとの考えを示した。
………………………………………………………………………………………………………
◇感染が確定した国・地域(12日午前1時現在)
米国 2532人
(死者3人)
メキシコ 2059人
(死者56人)
カナダ 284人
(死者1人)
スペイン 93人
英国 55人
パナマ 15人
フランス 15人
ドイツ 11人
イタリア 9人
コスタリカ 8人
(死者1人)
ブラジル 8人
ニュージーランド 7人
イスラエル 7人
日本 4人
エルサルバドル 4人
韓国 3人
グアテマラ 3人
オランダ 3人
コロンビア 3人
ノルウェー 2人
アイルランド、スイス、オーストリア、中国、香港、デンマーク、ポルトガル、ポーランド、スウェーデン、アルゼンチン、オーストラリアで各1人
計 5136人
WHO、毒性示す指針を作成中
2009年5月12日 提供:読売新聞
【ジュネーブ=平本秀樹】世界保健機関(WHO)のケイジ・フクダ事務局長補代理は11日の記者会見で、新型インフルエンザの警戒レベルについて、地域的な広がりに基づく現行の判断基準に加え、ウイルスの毒性を示す新たな指針を作成中であることを明らかにした。近く公表する。
6段階のフェーズに分かれている現行の警戒レベルは、強毒性の鳥インフルエンザの流行を想定して作成されている。だが、新型インフルエンザウイルスは、現時点では弱毒性とみられており、毒性を考慮せずに最高レベルの「フェーズ6」に引き上げれば、世界に与える影響が大き過ぎると判断した。
新型の致死率0・4% 季節性より強い感染力 国際チームが分析
2009年5月12日 提供:共同通信社
【ワシントン11日共同】世界に広がっている新型インフルエンザの致死率は1957年のアジア風邪並みの約0・4%で、感染力は季節性インフルエンザよりも強いとする初期データの分析結果を、国際チームが11日、米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。
チームは、世界保健機関(WHO)の世界的大流行(パンデミック)評価に携わる英ロンドン大インペリアルカレッジなどで「20世紀に起きたパンデミックに匹敵する大流行になる可能性がある」と指摘している。
チームは、旅行者を通じた世界各国への感染拡大の状況などから、4月末にメキシコで感染者は2万3000人いたと推計。当時の死者数から、感染後の致死率は約0・4%で、1918年出現のスペイン風邪(約2%)よりは低いが、アジア風邪(約0・5%)に匹敵するとした。
1人から何人に感染するかを示す感染力は、1.4-1.6人と推計。季節性のインフルエンザよりは強く、1.4-2人だった過去のパンデミックの低い方に近いという。
メキシコでは、1月12日ごろに最初の1人に感染し、4月末までに人から人への感染が14-73回繰り返されたと推定されるという。今回の解析では、最も早く感染が確認され、住民の半数以上が発症したベラクルス州ラグロリアが発生地になったとの説を支持する結果が得られたとしている。
▽アジア風邪
アジア風邪 1918年に出現したスペイン風邪、68年の香港風邪とともに、20世紀に世界的に大流行した3回のインフルエンザのうちの一つで、57年に香港で表面化した。起源は中国南西部との見方もある。2波にわたって世界中に広がり、死者は200万人以上とされる。日本でも数千人が死亡した。ウイルスはA型インフルエンザのH2N2型。
「新型」致死率、100万人超死亡「アジアかぜ」並み…WHO
2009年5月12日 提供:読売新聞
新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の致死率は、世界で100万人以上が死亡した1957年のアジアかぜ並みの0・4%で、感染力も季節性のインフルエンザより高いとする分析結果を、世界保健機関(WHO)と英国、メキシコの研究チームがまとめた。12日、米科学誌サイエンス電子版に緊急報告された。
メキシコ政府は12日現在、新型による感染者数は2059人、死者数56人と公表している。しかし実態は不明で、新型の正確な致死率や感染力は分かっていない。
研究チームは、データが正確な欧米の感染者数を基に、メキシコの出入国者数、感染者の広がりなどから逆算し、メキシコでは4月末までに6000-3万2000人の感染者が発生、致死率は0・4%に上るとする推計をまとめた。
その結果から、致死率は約4000万人が死亡したとされるスペインかぜ(1918年)よりは低いが、アジアかぜレベルの強さがあると見ている。感染力についてはスペインかぜなど過去の新型インフルエンザに比べると、同等かやや低いが、季節性のインフルエンザよりは高いと見られるとしている。
流行は2月中旬にメキシコ・ベラクルス州のラグロリアで始まったと見られ、この地域では15歳未満の61%が発症したのに対し、15歳以上は29%の発症率にとどまっていた。研究チームは「重症度は、国の医療事情などによって変わるだろう。今後も、詳しい症例データを収集する必要がある」と指摘している。
通常インフルと多い共通点 新型ウイルスの特徴
2009年5月11日 提供:共同通信社
これまでに明らかになった新型インフルエンザ(H1N1型)の感染の仕組みや症状、ワクチンや薬の現状をまとめた。通常のインフルエンザと共通点が多いが、違いも幾つか分かってきた。
▽2メートル以内で感染も
通常のインフルエンザと同様、患者のせきやくしゃみのしぶきに含まれるウイルスを吸い込む「飛沫(ひまつ)感染」が主とみられている。一般に患者から約2メートル以内の距離にいると感染の恐れがあるとされる。ウイルスが付着した物に触った手で口や鼻に触れることでウイルスが体内に入り、感染することもある。
感染してから症状が出るまでの潜伏期間は1-5日、長くて7日程度ではないかとみられる。一方、他人に感染させる恐れがあるのは、症状が出る1日前から発症後7日程度とされる。
▽少ない重症者
ウイルスの感染力は強いとみられるが重症患者は少ないとされている。
国立感染症研究所によると、米国患者44人の分析では、96%に高熱(平均39度)があり、せき、のどの痛み、筋肉痛など典型的なインフルエンザの症状が多く報告された。目を引くのは、通常のインフルエンザには珍しい、下痢の症状が約半数の患者にみられたことだ。
もう一つ、専門家が注目するのは、通常のインフルエンザでは重症化しやすい60歳以上の患者がほとんどおらず、10代など若い世代の患者が目立つ点。米疾病対策センターの最近の報告によると、患者の60%は18歳以下、51歳以上はわずか5%だった。高齢者は過去に似たウイルスに感染するなどし、何らかの免疫を持っているのでは、との見方もあるが、現時点では未解明だ。
▽ワクチンと薬
新型インフルエンザのH1N1型というウイルスの型は、毎年流行しているAソ連型と共通。だがこれまでの研究によると、通常のインフルエンザワクチンを接種していても効果は期待できないという。新型インフルエンザのワクチンはまだなく、製造には半年程度かかる見通しだ。
このため当面は、抗インフルエンザ薬であるタミフルとリレンザが医療面の対策の柱になる。タミフル、リレンザとも症状が出て早期に投与すれば有効とされている。
厚生労働省によると、国と都道府県でタミフル(3380万人分)とリレンザ(270万人分)で計3650万人分を備蓄済み。さらにタミフル830万人分の備蓄を上積みする。
▽予防には手洗い
感染予防にはせっけんを使った手洗いのほか、睡眠と栄養を十分取って健康管理に気を付けることが大切。人込みはできるだけ避けるなど、通常のインフルエンザ予防と同様の心掛けが必要だ。
「未報告の死者がいる」 メキシコ医師ら“告発”
2009年4月28日 提供:共同通信社
【ロンドン27日共同】「報告されていない若者の死者がいる」「状況はコントロールされていると言うにはほど遠い」-。英BBC放送は27日までに、豚インフルエンザ感染の震源地メキシコの医師らが生々しい被害実態を“告発”した投稿をウェブサイトやラジオ番組で公開した。
メキシコ市の呼吸器系疾患専門医アントニオ・チャベス氏は「1日に3人から4人が死亡する事態が2週間以上前から続いている」として、感染者の死亡率は「メキシコ当局の報告より高いのが真実だ」と指摘。20歳から30歳までの若い世代が「望みを失った医師らの目の前で」次々と亡くなっていくことに、深い悲しみに襲われると吐露した。
さらにメキシコ市の医師グアダルーペさんによると、必要な検査が実施されなかったため豚インフルエンザとは報告されていない若者の死亡ケースが数例あるという。
南部オアハカのアルバロ・リカルデス氏は「病院で働く友人らは、状況はとても悪く、医師と看護師を含め19人が死亡したと話していた」と説明。また「彼らは本当の状況については口外しないよう言われている」として、当局による情報隠しの可能性も示唆した。
「新型」感染の疑いなら10歳代にもタミフル容認…厚労省
2009年4月30日 提供:読売新聞
新型インフルエンザが国内でも流行する可能性が高まっていることを受け、厚生労働省はインフルエンザ治療薬タミフルを、新型インフルエンザ感染が疑われる10歳代にも処方できるとする方針を明らかにした。
30日の衆院厚生労働委員会で、同省健康局の上田博三局長が答弁した。
タミフルを服用した子どもが飛び降りなどの異常行動をする事故が相次ぎ、同省は2007年3月から、原則として10歳代には処方を差し控えるよう、医療機関などに通知していた。
しかし、新型インフルエンザの治療にはタミフルが有効とされ、他に有効な治療法もないため、例外的に使用することを認めることにした。
患者に濃厚接触した子どもに、感染予防のためにタミフルを飲ませることについても、有効性や安全性について十分に情報を提供し、同意を得た上で可能にする考えを示した。
同省研究班はタミフル服薬が異常行動を引き起こすかどうか大規模調査を行ったが、結論はまだ出ていない。
ただし、インフルエンザそのものでも異常行動が起こることがわかっており、同省では、子どものタミフル服用にあたっては少なくとも2日間、子どもが1人にならないよう配慮するよう注意喚起している。
新型インフルエンザ、ほとんどが軽症者 投薬せずに回復 感染研推定
2009年5月1日 提供:毎日新聞社
新型インフルエンザ:ほとんどが軽症者 投薬せずに回復--感染研推定
国立感染症研究所は30日、今回の新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)による感染者数の状況を推定した。感染者数が今後増加しても、多くが軽症ですみ重症例は少ない可能性が高いとしている。
同研究所の岡部信彦・感染症情報センター長らは4月29日深夜、米疾病対策センター(CDC)やメキシコ、カナダなどによる世界保健機関(WHO)の電話会議に参加。米国ではほとんどの感染者が軽症で、毎年流行するインフルエンザと同じ気道症状にとどまり、タミフルなどの治療薬を投与しなくても回復している。また、メキシコの重症患者は、他の病院で服用している薬による免疫低下などが原因とみられるという。【関東晋慈】
10代のタミフル問題なし 厚労省、新型インフルで
2009年5月1日 提供:共同通信社
新型インフルエンザ対策の柱として国家備蓄が進められる一方で、通常のインフルエンザでは10代の患者への使用が原則中止されている治療薬タミフルについて、厚生労働省は30日、「新型感染の危険性を慎重に考慮した上で、10代でも治療や予防に使用できる」との見解をまとめた。
同日午前に開かれた衆院厚生労働委員会でも、上田博三(うえだ・ひろぞう)健康局長が予防投与について「可能だ」との見解を表明。従来も、合併症などで「ハイリスク」と判断された10代の患者には使用されてきた。
ただ、今回の新型インフルエンザについては、鳥インフルエンザ(H5N1型)とは違う「弱毒性」とされ、重症度が必ずしも明確になっていない。このため同省内には「患者の症状の重さと薬の副作用のリスクを、現場で慎重に見極め判断してほしい」(安全対策課)との声が出ている。
同省の新型インフルエンザ専門家会議議長の岡部信彦(おかべ・のぶひこ)国立感染症研究所感染症情報センター長は「海外の患者の症状の情報を得ながらの判断になるが、分からない場合はタミフルを使った方が有利だと個人的には考える」と話す。岡部さんによると、米国ではタミフルなどのノイラミニダーゼ阻害剤の早期投与により、症状が早く改善するとの報告が出始めているという。
タミフルは1歳未満の乳児への安全性、有効性は確立していないとされるが、患者が急増している米国では、食品医薬品局(FDA)が同日までに「感染による死亡の危険性が高い」として、1歳未満に対しても緊急使用許可を出した。
厚労省によるとタミフル備蓄量は、国と都道府県で3380万人分を確保済み。近く830万人分を上積みするとしている。
【米国で感染急拡大 欧州の増加が焦点 WHO、総会会期大幅短縮 大流行認定へ分析継続
2009年5月8日 提供:共同通信社
【ジュネーブ7日共同】米疾病対策センター(CDC)は7日、米国内で新型インフルエンザに感染した人の数が41州の計896人に上ったと発表した。5日時点の403人から2倍以上に急拡大した。
英国やフランスでは7日も感染者が増加。世界保健機関(WHO)は世界的大流行(パンデミック)の正式認定となる警戒水準(フェーズ)の「6」への引き上げの是非をめぐり、感染状況の分析を精力的に続けた。焦点は感染者が急増中の英国とスペイン。「引き上げは時間の問題」と話す関係者もおり、緊迫した状況が続いている。
WHOでインフルエンザ対策全般を統括するフクダ事務局長補代理は7日の定例記者会見で、警戒水準を現時点では「5」に据え置く考えを示した。一方、WHO事務局内には「内部の評価としては既に『6』だ」との認識が出ているほか、引き上げの是非を事務局長に勧告する緊急委員会のメンバーに、委員会開催に備えて待機要請が出されている。
各国の保健当局がインフルエンザ対策に忙殺される中、WHOは同日、最重要会議である総会の会期を当初予定の今月18-27日から18-22日に大幅短縮することで基本合意した。
一部のWHO関係者によると、感染疑いの人に対する米欧間の検査基準に違いがあるほか、欧州連合(EU)内の調整が難航。パンデミック認定に予想以上の時間がかかっているもようだ。
英国とスペインの感染確認数はそれぞれ34人と81人で、メキシコや米国、カナダに次ぐ感染数。欧州で、感染源の特定が不可能な地域社会レベルの感染拡大が確認されれば、パンデミックが認定される。
英、スペイン両国で既に「人-人-人」の感染報告が出ているとの情報もあるが、フクダ氏は6日、一部記者団に対し、感染は学校内など閉鎖的な空間に限られており「感染源が特定できないような地域社会レベルの流行に至ったとの証拠はない」と警戒水準維持の理由を説明した。
女性、青年層に死者多数 新型インフル解明これから
2009年5月8日 提供:共同通信社
【メキシコ市7日共同】新型インフルエンザ感染拡大の中心になったメキシコは「事態が落ち着きつつある」として市民生活正常化の方向へ歩み出した。女性や青年層に死者が多い一方、ウイルスについての解明はこれからだ。政府の発表などを基に、このインフルエンザの特徴をまとめた。
▽症状
世界保健機関(WHO)のフクダ事務局長補代理によると、潜伏期間は1日から1週間程度。
最初に感染が確認された死者19人のうち84%が高熱、74%がせき、63%が呼吸困難、50%が片頭痛の症状を訴えた。鼻水、筋肉痛といった症状も現れたという。
▽感染力
1人の患者から感染する平均人数で感染力を示す指標は1.4。季節性のインフルエンザは1.3といい、メキシコのコルドバ保健相は「それほど高くないようだ」との認識を示している。
7日午前までの感染確認者は1204人で死者は44人。感染が確認された人のうち3・7%が死亡した計算になる。
▽男女差
5日朝までのデータによると、感染者のうち女性は50・9%で男性は49・1%。同国の人口構成にほぼ一致しており、有意な差は認められていない。
ただ、死者数では差がある。6日朝までの死者42人のうち女性が24人、男性が18人。保健相は「女性がこのウイルスに対して抵抗力が弱いなど、生理学的、病理学的な観点からは明確な説明はない」と述べる一方で「特に医療サービスへのアクセスという点で男女の間に差がある。一般的に、エイズウイルスの際と同様に、社会的な要因により病院に行くのが遅い」と述べ、男性優位社会で女性が病院に行くのが遅れる傾向を指摘した。
▽年齢差
5日朝までの感染確認者866人の内訳は0-9歳で224人、10-19歳で216人、20-29歳で177人で、年齢層が上がるほど少なくなっている。
一方、6日朝までの死者42人のうち16人が20-29歳、9人が30-39歳の年齢層に含まれ、20、30代が半数以上を占めた。
保健相は、若い世代は初期症状が出た段階では医者にかからない傾向が強く、自己診断で薬を飲むなどして対処しようとしているうちに手遅れになったとの仮説を示す。
メキシコだけ、他国に比べて死者が多い理由については、最初にメキシコで感染が広がったために他国では対応が間に合ったという要因を指摘しているが、科学的な理由付けはできていない。
▽感染地域
6日朝までのデータによると、感染者が多いのはメキシコ市で、全体の68%。隣接するメキシコ州は12%、中部サンルイスポトシ州7%、同トラスカラ州5%で、中部に偏っている。
ワクチン製造へ本格調整 「季節性」との配分が鍵
2009年5月8日 提供:共同通信社
【ジュネーブ7日共同】世界保健機関(WHO)は世界的大流行(パンデミック)認定が現実味を増している新型インフルエンザ用のワクチン製造の開始に向け、7日までに製薬業界や利害関係国との本格的な調整に入った。
WHOのキーニー・ワクチン研究部長によると、製造開始にゴーサインを出すかどうかをチャン事務局長が専門家に諮る初会合を14日に開く。米疾病対策センター(CDC)が培養を進めている、ワクチン開発の鍵となる「ウイルス株」は5月後半にも世界のワクチンメーカーに分配される予定。順調に行けば今秋には新型ワクチンの本格流通が始まる見通しだ。
新型ワクチン製造には通常の季節性インフルエンザ用ワクチンの生産設備が使われる。季節性だけで年間25万-50万人が死亡するとされており、「パンデミック寸前」とはいえ、7日時点で世界の確認死者数が50人以下にとどまっている新型インフルエンザ向けワクチンをどの程度製造し、いかに通常ワクチン生産への影響を抑えるか、WHOや各国当局は難しい判断を迫られる。
一方、大手ワクチンメーカーが欧米の先進国に集中しており、新型ワクチンの「公平確保」を訴える発展途上国にどう分配するかも難問だ。チャン事務局長と国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は19日に世界の製薬企業トップをジュネーブに招き、途上国向け新型ワクチンの確保を要請する考え。
キーニー部長は、既に新型ワクチンについて2億人分の発注を受けているメーカーもあり「WHOとして詳細を照会中だ」と指摘。水面下で新型ワクチンの「争奪戦」が始まっているもようだ。
またインドなどワクチン製造に意欲を見せる新興市場国の医薬品メーカーに、欧米メーカーが先進的な製造技術の特許をいかに開放していくかなど南北間の厳しい交渉も予想される。
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Re: 甲型H1N1流感攻陷東京 全球患者破萬人 死亡83人
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